東雲舞、暗闇に隠れた真実を暴く
雨宮 徹
東雲舞、暗闇に隠れた真実を暴く
くそ、かくれんぼに負けるなんて、なんたる屈辱。僕は大きくため息をついた。
「あら、真がため息をつくなんて珍しいじゃない。それも深刻そうな顔で」と
「まあ、聞いてくれよ。昨日の放課後、かくれんぼをしていたんだけどさ」
「かくれんぼ? 中学生になって、かくれんぼなんて、呆れるわ」
東雲はやれやれと首を振る。
「いや、言い出しっぺは宮野さ。それに巻き込まれただけだ」
本当は違う。僕自身が提案したのだ。東雲にバレたら、バカにされるのが目に見えている。
「で、かくれんぼしただけなのに、なんでため息なんてつくのよ」と東雲。
「いや、鬼役をやったんだけどな、どこを探しても宮野だけ見つからなかったんだよ」
「はあ? それが理由? くだらないわね」
グサっと胸に刺さる。東雲は言葉を選ぶことはしないからな。
「だって、理科室も体育館も、もちろん教室も探したんだぜ? いくらかくれんぼでも、納得がいかないんだ。どうやって逃げ切ったのか」
「なるほどね。でも、一つだけ心あたりがあるわ。真、トイレは探したのかしら?」
「はあ? トイレ? 探すまでもないだろ。だって、明かりが消えてたんだぜ?」
「じゃあ、トイレを隅から隅まで探したわけじゃないのね」
「そりゃ、その必要がないからな」
「真も知っての通り、学校のトイレは人感センサー式よ」
「いや、だからこそトイレは調べる必要がないだろ。明かりが消えてたんだから」
「じゃあ、これならどうかしら。宮野くんは最初からトイレに隠れていた。でも、人感センサーは動きがないと自動で明かりが消えるわ。そして、真がトイレをチラッとみると明かりはついていない。それで、誰もいないと勘違いをした。これなら筋が通るんじゃない?」
なるほど、それなら説明がつく。
「まあ、宮野くん本人に聞くことね。今のはあくまでも私の推測だから」
東雲舞、暗闇に隠れた真実を暴く 雨宮 徹 @AmemiyaTooru1993
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