第3章 「告白」(第一部終わり)②
六月中旬、生徒会長の職務を後任に譲った。しっかりとした体育会系の男子だ。
これからは、生徒会室で弁当は食べられない。
陰キャラ全開でいくのもいいが、奏に誘われたので、男子同士のグループで、奏も含めた五人くらいで昼飯を食べることにした。
廉は家から弁当を自分で作って持ってきている。けれど、その男子たちは奏と同じように、購買のカレーパンやコンビニのおにぎりなどを主食にしていた。朝ごはんと夕飯はガッツリ食べるようだ。
「ツバメ学園の学祭、七月かあー」
男子のひとりが言って、嬉しそうだ。
「忍田は二年の時から理系志望だったらしいし、興味ないよな。ツバメ学園って、ファッションデザイナーとかを輩出してるおっきな専門学校なんだよ。都内である学祭、さぞかしカラフルだろうなー。芸能人とかも呼ばれるらしい」
「覚えとくよ」
廉は静かに言ったけれど、内心、その学祭を早くスマホで検索したい、という衝動にかられている。
結衣とそこに行くんだ。
せっかく彼女になってくれた。大事なあの子と、そこに行く。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
あの子がゴールデンウィークの自分に見せてくれたように、自分も、何かをそこで、あの子に見せてあげられないだろうか。
形のない「夢」というものにもし形があるとするならば、それはデザイナーの専門学校の学祭のような華やかな場所にあるのではないか。
廉は別に、デザイナーになるつもりは今のところはない。けれど、完全な「理系志望」というのは揺らぎつつあった。
もし大学に進むならば、将来、就職する時に、何かしらのメーカーに勤務するのに有利な大学や学部を選びたかった。
自分が好きなステーショナリーのメーカー、雑貨のメーカー、あるいは、メガネのメーカーなども調べてみた。メガネ作りの専門学校があることも知ったが、将来の選択の幅を広げるために、「今は」大学に進学する道を選ぼうと思っていた。
文系、理系は問わず、良さそうなところを受けてみるつもりだ。オープンキャンパスなどで、九月以降に調べてみたい。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
家に帰ると、玄関に飾られてるのは「ルミちゃん」。廉と結衣の交際を聞いて喜んでくれた母さんが、お祝いにそこに飾ってくれた。あの子にもらった大事なぬいぐるみが、今は真っ先に出迎えてくれる。
(第一部終わり)
二人の今後のため、⭐︎マークをつけていただけましたら、とても嬉しいです!!!
可愛いものが好きな生徒会長の、脳内乙女な恋バナ 瑞葉 @mizuha1208mizu_iro
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