第15話 憑依するゴーストライター

 灰色は白紙。けれども、あるアドバイスをしたら、書き始めた。それもたくさん。


 そのアドバイスとは?


「作者になりきれ」


 例えば、keyのライターの麻枝准。彼ならば、どんな文章を書くかを夢想する。そして、麻枝准のゴーストライターになりきって文章を書く。


 灰色は書き始めた。ゴーストライターなりきり作戦。


「麻枝准ならばどうする? 西尾維新ならばどうする? 鎌池和馬ならばどうする? 奈須きのこならばどうする? 入間一間ならばどうする? どうやって書く?」


「そうだ。灰色。彼らのゴーストライターになりきれ!」


 灰色に“魔が宿る”。レベル1の小さな怪物は、『憑依』の能力を得た。悪く言えば中二病、良く言えばゴーストライター。


「灰色。僕たちは弱い。だから他人のふんどしで小説を書いてはいけない。村上春樹先生が言うには、小説は、他人の椅子を蹴落とすゲームではなくて自分だけの椅子を見つけるゲームだ」


「私だけの椅子?」


 灰色は“憑依”する。麻枝准を装備して、西尾維新を装備して、鎌池和馬を装備して、奈須きのこを装備して、入間一間を装備して、残りの……。


「片山憲太郎先生を装備する」


 灰色はオーバーヒートして鼻血を出す。なので、入間はハンカチを出して、さりげなく拭いてあげた。


 灰色という、金閣寺雪の、化け物が片りんを見せる。“魔が宿る”。

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