第2話 ココナラの読者サービス
借金一億円を抱えている葉隠入間(はがくれ・いるま)の収入源は副業にあった。
ココナラというスキルシェアサービスで小説の添削や感想を伝えてお金を稼いでいる。料金の相場はざっと、アマチュア1000円、プロ作家やプロ編集者20000円。
入間は素人なので10万文字の小説を読んで1000円くらいの料金サービスが妥当なのだが、小さいころから家族全員のラノベを読んできたので、ライトノベルだけは自信があった。なので、最初1000円から始めた感想サービスは、満員御礼。なので、料金体系を1000円ずつあげていき、5000円になった今ではリピーターが付くほどの人気を博している。
一回の感想サービスで5000円の料金をもらう。20%の手数料をしょっぴかれ、入間の手元に残るのは約4000円なので、月3回のお仕事でだいたい約1万円の収入を得ていた。
加えて、ラノベ作家の親戚から小遣いをもらう。自分で稼いでいるので、「いらないっす」と言うと、親戚の姉ちゃんから、「借金一億円あるんだから、少しは足しにしなさい」と言われた。
ということで、入間の小遣いは自分で稼いだ副業で約1万円。と親戚の姉からもらった小遣い1万円の計2万円ほどになる。借金の一億円は、家に残されていたわずかな貯蓄から切り崩してなんとか利子を払っている。一応、利子だけ。
借金一億円の利子は、毎年2%なので、200万円になる。月に換算すると多めに見積もって20万円。入間は実家の残された貯蓄から毎月20万円を銀行に払っていた。
弁護士や税理士に相談したこともあった。債務整理の自己破産をすすめられた。
だけれども、入間は借金返済を諦めていない。相棒を見つけてラノベ王になれば、一撃で一億円の借金を返済できる。と信じている。
閑話休題。
ココナラのサービスに話は戻る。入間のココナラの読書サービスの評価はほぼオール星五。たまに入間が納品の時間に遅れて星三をつけられたことはあったが、97%最高評価の星五の高い満足度を提供できている。
問題は箔だ。箔が欲しい、と入間は思う。
プロの作家やプロの編集者になれば、一回のサービス提供で2万円以上の付加価値が出る。今の入間では、ラノベにちょっと詳しいアマチュアという評価。
5000円の仕事が2万円になれば、時給は4倍。一撃で入間の月の小遣いの約2万円をゲットできる。
だからどうしてもプロになりたい。作家でも編集者でも何でもいい。そのために、借金漬けの入間は小遣いのほとんどを本代に費やして自己投資していた。
ライトノベルのみならず、漫画やコミック、アニメやゲーム、映画にまで手を出して、延長線上では音楽や絵画、イラストなどの一級の芸術に触れた。
入間の土日は美術館巡り。芸術のセンスを磨いた。
まあ、美術館のお金は親戚の姉ちゃんに出してもらっている。その代わり、入間は姉ちゃんの読者となり、無料で添削サービスを提供した。ギブ・アンド・テイクだ。
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