愛の形

愛の形

 愛には様々形がある。例えば。


「柔らかい肉の部分だけじゃなくて、骨の髄まで愛してほしい♡」


 とほざく拗らせ地雷系女もいれば。


「愛するなら脳でしょう。だってその人の人格などを構成しているのは脳なのですから、脳だけでいいと思います。」


 サイコパスみのある真面目系眼鏡男子はこう言ってくる。 ……こいつホルマリン漬けの脳とか愛でていそう。


「もう何言っているんですかぁ。一人を愛するのではなく全ての人を愛することが素敵なことなのですよぉ。」


 そう語ったのは神が好きで好きでしょうがなくリスペクト(自称 博愛主義)をしているが、ただの薄情修道女シスターだ。本当に馬鹿馬鹿しい。


「なぁ、お前らそんなこと言っているけどさ。愛以前に好きになんねえと愛することなんか出来ねぇよ。あとお前ら初恋未経験者だろ。好きのすの字もねぇガキンチョが何ってんだよ。」


 三人の言葉を聞いて私は怪訝そうな表情を浮かべながら言うと、一斉に三人の視線が私に向く。


「はぁ? 別に良くない? 自分の夢を語っているだけですけど。ババァは黙っててよ。愛を伝えられる相手もいないくせに。」


「そうですよ。三十路にもなって結婚をしていないおばさんが何を言っているんですか? 愛する以前に愛されていないくせに。これだから晩婚化が進むんですよ。」


「そんなに捻くれているから愛されないのですよ。唯一貴方を愛しているのは私と神であって、私は愛する神が愛なきものに愛を与えよと仰るから、可哀想なあなたのことも愛してあげているのですよぉ。」


 怒涛の三人の言葉の攻撃はとても鋭く、私の心に突き刺さる。


「ぐぅっ…… そ、そんなに言わなくてもいいだろ。あぁ、もう! お前らなんて大っ嫌いだ───!」



 結局愛の形なんて人それぞれ。ところで、キミの愛はどんな形?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

愛の形 @Aonosekai_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画