4.新月の日に始まる物語

あれよあれよという間に新月の日まで過ぎ去って行った。


2人の時間はいつもより2倍くらい早く感じられた。


「エリサ!新月の日になったね。何だかあっという間だった気がするね。」


「うん!びっくりするくらいにあっという間だったね。これも新月パワーなのかもしれないわね。うふふ。」


「ほとぼりが冷めないうちに、エリサの物語を聞かせてよ。」


「うん。ありがとう。じゃあさっそく始めから話していくね。」


そう言ってベッドの脇に置いてあったコンソールの引き出しに手を伸ばし、用意してあった1冊のノートをそっと取り出した。


「あ!そう言えばまだタイトル聞いてなかったね。すごく気になってた。」


「そうだったわね、タイトルものすごく迷ったんだけど、これにしたわ。」


そう言ってからエリサは深呼吸して、約10秒程間をとった。


「星を操るものたち…」


「…どうかな?」


エリサがタイトルを言って、アルフがそれを聞いた瞬間思わず笑みがこぼれていた。


「良いじゃない。すごく良い。何かタイトル聞いただけで、色々な想像膨らんじゃった。エリサの好きが詰まった物語を想像して、とても嬉しい気持ちになったよ。」


それを聞いたエリサもホッと安堵の表情になり、思わず笑みを零していた。


「タイトルだけでそんなに喜んでもらえるなんなて思ってなかったから、正直びっくりしちゃった。でもこれから読み聞かせがたのしみになってきた。アルフ、本当にありがとう。」


2人でニヤニヤしながらこんなに大盛り上がりするのは、初めての事だった。だからニヤけた顔が戻らなくなるくらい、ここぞとばかりにふたりして笑いあった。


「これからはエリサが読み聞かせするから、僕は途中でしゃべらないようにするね。」


「うん。じゃあこれから読んでいくね。」

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