第21話
【続・夜露side】
昨日の
申し訳ない、謝りたい。
そんな思いで、心の中がいっぱいになってる。
もう、どうしたらいいんだろう。
覚悟を決める。
「ガラガラ…」
恐る恐る。
その言葉がいちばんふさわしいだろう。
そっと、そっと傷つけないように、私はドアを開ける。
そして、自分の中で、いや今の自分の中で1番の笑顔を浮かべる。
「おはよう、
――あぁ、無理だった。
笑顔を浮かべられたかどうかは分からない。
でも、自分の声がいつもの声よりだいぶ低かった。
そして、
やっぱり、自分のせいだ。
私が、
私が合わせてなかったら――。
「おはようございます。」
ぼそっと、
その声は、いつもより頼りなさげで、寂しそうだった。
申し訳ない。
なんにも返せない。
いつもだったら――あれ?
どうしてたっけ?
昨日までの「普通」の会話が思い出せない。
「普通」が「普通」じゃないことを知った。
ごめんね、ごめんね――。
この空気が、嫌い。
重くて、全てが肩にのしかかるみたい。
この病院だけが、救いだった。
君だけが、君だけが。
君に振り向いてもらえなかったら、ねぇ。
「私の味方って、いるの?」
一瞬、自分の声が漏れたのかと思った。
だって、それは私が今ちょうど思っていたことで。
深刻に、悩んでいたことで。
――考えるのが、1番辛いことだから。
そんなに、考えさせちゃってたんだ。
ごめんね、ごめんね、ごめんね……。
気づいたら、私は泣いてしまっていた。
泣きたいのは、私じゃなくて
でも、止めることが出来ない。
それでも、私は君の味方だよ、って。
そんなこと伝わらないってわかってるけど。
伝えてあげたい。
他でもない君に。
だから、私は
というより、肩に顔を埋めてしまった、と言った方がいいだろうか。
私の心情は、私の涙は収まることを知らなくて。
どんどん、どんどん溢れ出ていく。
こんな自分が情けない。
「
でも、生気の無い顔で。
自分のせいだ。
自分が、あんなことをしなければ。
本当に、本当に――。
「ごめんね、ごめんね、
これしか、言えなかった。
ごめんね、本当に。
本当に。
今日は、生きた心地がしなかった。
明日、私は生きていけるのだろうか。
まだまだ、今日は始まったばかり。
なのに、明日のことを考えてしまう自分が嫌いだ。
誰も、幸せに出来ない自分が、嫌いだ。
昇るあさひに、煌めきはなかった。
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