第20話
【
私は、
ここの病院で看護師をやっている22歳だ。
……あれ?
みんな、私の名前聞くの初めて?
まぁ、そうだよね。
だって、この病院の患者さんはただ1人を除いてみんな知らないもん。
こんなに近くにいるのにね。
私は、自分の名前が嫌い。
「
なんで親がこんな名前をつけたのか、全然分からない。
夜っていうと、暗くて、怖い。
露が出るのも夜。
なんで、こんな暗い名前をつけたんだろう。
だから、私は名前を明かさない。
私は、最近、1人の患者さんを可愛がっている。
なんだか、この子の名前を見た時、自分と似てるなぁって感じたんだよ。
高一と、結構歳も近い。
だからか、私が笑顔で話しかけに行ったら懐いてくれた。
それで、私は
世界一美しい病って呼ばれてる。
世界って、本当に身勝手だよね。
それによって、
いや、それだけじゃない。
世界の何個もの命が失われてるんだから。
私は、
私はさっき、
いや、私は
もちろん、
「ガチャ。」
部屋のドアが開いた。
満面の笑みで後ろを振り向いた。
その時の彼女の顔は、予期しないものだった。
――だって、真っ青で。
幽霊じゃないかって思っちゃうぐらい生気がなくて。
自分が、
でも、明らかに傷ついている
多分、もっと傷ついちゃう。
だから、
「
こんな、ありきたりなセリフしか言えなかった。
――ごめんね、こんなことしか言えなくて。
ごめんね、あんなことしちゃって。
本当に、ごめん。
その時だった。
「バタッ」
多分、疲れとか緊張とかが入り交じっちゃったんだね。
本当に、ごめんね。
私は、これでも看護師。
呼吸ルートを保てるようにする。
こんなことしか出来ない、自分が惨めだ。
彼女の上に、何かがキラリと光った。
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