第7話
「朝姫の朝は希望の朝。朝姫の未来は明るいよ。」
誰かが言った。
そんな訳ないじゃん。
現に、あと1年で私は死ぬんだよ?
明るい訳が、無い。
「それでも、『夜』は続かない。必ず、朝が来る。」
ねえ、朝ってなに?
私に朝なんて来るの?
ねえ、教えてよ。
私は暗闇へ手を伸ばす。
何も掴めない。
何も入っていない手を見つめる。
その手は、細く、頼りなかった。
暗闇に、一筋の光が差し込んだ。
――夢、か。
そうだよ。
私に未来なんてないんだから。
後、1年なんだから。
ホロリ。
手の甲に、宝石が光った。
――また、わからなくなってきた。
生きる意味が、死ぬことが。
もう、どうにでもなれ。
この世界は美しく、また、残酷だ。
この生活の中、ふと思ったことがある。
お母さんの「色」ってなんだったんだろう。
身体が宝石となって固まる。
それが宝石病の患者の最期。
宝石の色は人によって違う色をしている。
グリーンのエメラルド。
真紅のガーネット。
そして、最近研究者チームの調査で判明したことがある。
――宝石の宝石言葉とその人の性格は同じである。
宝石言葉が「愛」である、エメラルドの人は一生忘れられない情熱的な恋をした。
宝石言葉が「忠実」である、ガーネットの人は主に死んでなお忠誠を誓い続けると言い残した。
私の色はイエロー。
スファレライトでは無いかと言われている。
――宝石言葉は、「裏切り者」「嘘つき」
そして「幻惑」。
私はなにか悪いことをしたのだろうか。
誰か、教えてよ。
――お母さん。
お母さんは優しい人だった。
いつも、包み込んでくれている様な感じがした。
私とは、違うんだ。
なぁ、運命よ。
教えてくれないか。
――この命、あと何日で燃え尽きたまふのか。
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