古典好きにはたまらない

 あはれ、いといみじけり。

 古語って便利ですよね。現代語には含まれない絶妙なニュアンスを備えています。それにフォーカスした作品となると古典好きの血が騒ぎ、レビューに至ります。

「人の情(こころ)の感ずること、恋にまさるはなし」

 源氏物語玉の小櫛より、宣長先生のお言葉です。要するに「恋って超エモい」という事。
 この作品にはもののあはれがある。忍び難きやむごとなき思いにゆゆしく感じ入りました。

 そして「ありがたし」を持ってくるセンスには脱帽です。古語には現代語と同音なのに意味が全然違う物が多くありますが、それを巧みに物語に取り込んでいる。これはまさに、時を超えた掛詞ではありませんか。古典好きにはたまりません。

 完全に古典好きとしての感想となりましたが、古典を知らずともこの物語に込められた「もののあはれ」はきっと感じられるはずです。是非ご一読を。
 おぼろげならぬ作品をありがとうございました。