無双
カシージャスとの戦いに勝った僕は、絶望的な状況からは回復していたものの、じり貧となっていたカルミア王国軍とニルシア小国のぶつかりあっている戦場へと直接降り立っていた。
「……流石に死霊魔法は使えないからね」
軍隊を相手にするのであれば、僕が死者の軍勢をここで呼び出してカルミア王国軍にぶつけるだけで全然勝てる……というか、この場に限らず。
僕の死霊魔法があれば普通に国家とも真正面から戦って勝利することさえも容易い。
兵士と死霊がぶつかり合って、それで兵士側に犠牲者が出れば。
その犠牲者が死霊となって自分の戦列に加わるのだ。
これ以上に反則じみた能力もないだろう。
ゲームのカエサルもこれを用いての人海戦術を得意とし、悪役貴族として猛威を振るっていた。
「悪名がヤバい」
そんな魔法の最大の欠点が倫理的に終わっているということである。
もしも、こんなところで僕が死霊魔法を使ったとしよう。
ニルシア小国は諸外国から死霊の手に落ちた国としてこれから扱われることになり、ニルシア小国には後世にまで残る悪名がまとわりつくことになるだろう。
「よっと」
というわけで、僕はカルミア王国軍の中央に立って、魔法を発動させて、敵を蹴散らすに留めていた。
「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」
自分との距離を詰めてくるガッツある奴らもいるけど、そんな奴らも僕が剣一つで斬り捨ててやる。
「……あれ、一人でいいんじゃないかしら?」
そんな僕を見て、ガイアの方がぽつりと言葉を漏らす。
「流石に無理じゃいっ!数がヤバいわっ!」
今は前後と真ん中から敵を攻め立てているので、自分への圧力もかなり弱まっているが、これが全員一気に自分の元へと来たら流石に、多勢に無勢だという奴だ。
「支えますっ!お兄様っ!」
「頼むわぁっ!」
全員でカルミア王国軍を叩く今、戦況は一気にニルシア小国側に寄って言っていた。
そんな中。
「おっ?」
僕の魔法の網を軽々と潜り抜けてくる一人の全身鎧を着こんで女性が自分の前にまでやってくる。
「カエサル様」
そして、その女性は迷いなく僕の前で片膝をつき始めるのだった。
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