圧巻

 カルミア王国軍の背後を強襲した一団。

 そして、ニーナが戦列に復帰。

 その圧倒的な力によってカルミア王国軍を相手に圧倒的な力で盛り返していく。


「我らは王の剣なりっ!」


「「「我らは王の剣なりっ!!!」」」

 

 だが、その状況であってもなお、カルミア王国軍は強力であった。


「ぐわぁっ!?」


「くそっ……ッ!」


 一度、混戦となった中でニーナが自由に大剣を振り回すのも周りを巻き込んでしまうために難しい。

 ニルシア小国の兵士たちは結局のところ、その数を徐々に減らしだして行っていた。


「こっちもダメだ……っ!?」


「やっぱり大国って洒落にならなねぇっ!?」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ」


 そして、カルミア王国軍の背後を強襲した者たちも者たちでその立場は盤石なものじゃなかった。


「ちょっとこれは不味いかもな……?」


 受ける被害が許容範囲を大幅に上回ってしまう。

 そんな危惧の中で、ガリアが眉を顰めた瞬間。


「ごめん、遅れた」


 戦場の一つの星が落ちる。


「「「……っ!?」」」


 カルミア王国軍のちょうどど真ん中。

 そこに降りた一つの人影は迷いなく魔法を発動。


「地獄の息吹」


 戦場に極寒の空気が流れ、一気に大量のカルミア王国軍の体が凍り付いて砕け散っていく。


「よっとっ!」


 氷のダストがキラキラと舞う中で、その姿を見せるのは一人の少年である。


「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」


「死ねぇっ!!!」


「……ここでぇ───っ!」


 そんな少年へと迷いなく距離を詰めて剣を振るおうとするものが三人。

 そのどれもが一騎当千の強者たち。


「カシージャスの後じゃ、全然軽く思えるな」


 だが、その三人は一切無駄のない剣の絶技によってその体を倒し、その場に舞う氷のダストを一気に赤く染めあげてしまう。


「お兄様っ!」


「今更来やがったかっ!」


「マジで遅くなった。でも、ちゃんと強敵は倒してきたから許してくれ」


 じり貧。

 そんな状況の中で、カシージャスとの戦いを終えたカエサルがこの最前線へと降り立ったのだった。

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