強襲

 カエサルがアイランク侯爵家の虎の子であったカシージャスに危なげなく勝利していた頃。


「何処の誰かはわからねぇけど助かったなァっ!」


 カルミア王国軍とニルシア小国のぶつかり合いにおいても大きく状況が変わっていっていた。

 カルミア王国軍の背後をいきなり強襲した一団。


「こんな劇的な登場をして、情けない姿は見せるなよぉっ!」


 その一団の人数としてはニルシア小国ぐらいと、大量のカルミア王国軍と比べればはるかに少なかったが、それでもその質はかなり高かった。

 完全に背後のことなど意識していなかったカルミア王国軍の不意打ちに成功したその一団は次々とカルミア王国軍の兵士たちを撃破していく。

 そんな攻撃を前に、カルミア王国の間に大きく動揺が伝播していく。

 そして、その動揺は最前線の方にまで広がっていく。


「い、一体あいつらは何者なんだっ!?」


 突然の事態。

 当然の強襲。

 それを前に広がった動揺。

 その事実はカルミア王国軍の質を大きく底上げしていた兵士たちの心を一つとすることで大きな力を得る軍事魔法による影響をかなり大きく削がせた。

 カルミア王国軍の質もがくんと下がったのだ。


「緩まりましたね」


 そして、その軍事魔法の影響低下を受けたのは一般兵士だけではなく、ニーナを囲んでその動きを止めていた一騎当千級の強者たちも同様だった。


「まっず……っ!?」


 がくんと急に圧力が弱まった瞬間。

 それを見逃さなかったニーナは力強く動き出す。

 自分を囲んでいる者たちの輪から強引に抜け出したニーナはそのまま魔法で慣れ親しんだ巨大な大剣を生み出す。


「よくも好き放題やってくれましたね?」


 そして、それからは攻守交替だ。


「て、てったっ!?」


 地面を蹴って突き進むと共に大剣を振り回すニーナは血の雨を降らす。


「……ァ」


 決して弱くはない、弱いはずのない一騎当千級の強者たちは大剣を持ったニーナを前に、何も出来ずにただただ吹き飛ばされていくのだった。


 ■■■■■


 八月に入り、夏休みにもなったということで新作です!

『ゲームのモブに転生したワイ、ルンルン気分でゲームの世界を観光していたら、落ちぶれた悪役令嬢を拾ってしまう』

https://kakuyomu.jp/works/16818093082189695855

 自信作なので、読んでくだせぇっ!

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