支援

 勝っているのかと思いきや、物資面において小国としての弱さから崖っぷちに立たされていたニルシア小国。


「……なんて?」


 そんな中で僕は今、ニルシア小国の物資面の弱さを解消するために動いていた。


「いや、だから、ニルシア小国に物資を無料でほしいな、って思って」


 そのために僕がやることと言えば、やっぱり頼れる人に対して声をかけることである。


「お前、俺が誰だと?」


「ガク」


「あぁ、そうだ。カルミア王国、オーロスト辺境伯のガク・オーロストだ。わかるか?カルミア王国の人間だぞ、俺は。敵国の人間の元にやってきて物資寄越せとは正気か?」


「正気ですけど」


 僕の前で座るガクが告げる呆然としたような声。

 それに対して、僕は何処までも堂々たる態度で言葉を返していく。


「……はぁー、屁理屈を聞こうか」


「最初から屁理屈扱いしないでよ。別に、僕からの言葉なんてどこまでも簡単だよ。お前さんの位置的にニルシア小国の方で何が起きようとも関係ないでしょ?ガクの領地は反対側だ」


「俺が協力するメリットは?」


「国の膿を出せる……言っていただろう?カルミア王国は一度、清廉になる必要がありと」


「ずいぶんな、劇薬じゃねぇか、敗戦により、強引に清廉にすると?」


「そういうこと……こうでもなきゃ、出来ないだろう?」


「……」


 僕の言葉にガクが閉口する。


「この戦争を起こしているのはあくまで、アイランクだ。国自体にそこまでの影響はないだろう?」


「だとしても、問題の方が大きいだろう。小国相手に大国として、負けるわけにもいかない」


「僕か、ニーナ。それがアイランクの上に立つのだとしたら?」


「……むっ」


 ガクの表情が揺らぐ。


「まだ、信じてもらえていないかな?」


 ガクは既に中年のおっさんであるが、彼は僕とニーナの二人の知人でもある。

 彼であれば、僕とニーナの実力を正確に認識している。

 カルミア王国を清廉なものにし、今後千年続くような永遠の王国にする。そのガクの野望を叶える上で自分たちが当主として仲間にあんるのは大きいだろう。


「……いいだろう。俺も支援してやる。代わりに、お前がアイランクの上に立てよ」


「……それはニーナと相談かな?それでも、よろしく」


 その餌に乗ってきたガクは支援を約束してくれるのだった。

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