戦争準備

 僕がニルシア小国へと帰ってくれば、そこではいきなりの戦争準備に大慌てで態勢を整えているところだった。


「よっと」


 そんな様子を眺めながら、僕はニルシア小国の王城へと戻ってくる。

 自分がまず真っ先に入る部屋は既に慣れ親しんだ相手である王女様のところだ……未だ、ちょっと他の王族の方々と顔を合わすの気まずいので彼女の元だ。

 いや、まぁ……王女様も色々な意味で会いにくいけど。だいぶ。

 今のところ、向こう側が告白について触れてこないから……こう、何も触れずにいるけど。一回、振った相手と会うのもそれはそれで気まずい。

 けど、まぁ……他の王族よりかは。


「あっ、カエサル様。おかえりなさいませ。何処に行っておられたのですか?」


「ちと、昔の知人に戦争協力を頼みに行っていたんだよ」


「おぉ……それは、それは。それで?向こう側からの答えはどうだったのでしょうか?」


「ひとまずは様子見するって言われちゃったよ。だから、まだわからないかな」


 レジスタンスを動かすタイミングは今すぐ、というよりもある程度戦乱が続いて厭戦気分が広がっていってからの方がいいだろう。

 動けるかどうかもわからないしね。


「そうですか。それでは、楽しみに待っていましょう」


 僕の言葉に王女様が頷く。


「それで?今、ニルシア小国での準備状況はどんな感じ?」


 そんな王女様へと今度はこちら側から疑問の声をぶつける。


「……厳しい、ですね。今、急ピッチで進めていますが、間に合うか、どうか」


「別にそんな焦らなくて大丈夫だと思うよ。何とかなるはず。カルミア王国の方でも普通にドタバタ劇だよ」


「……そう、なんですか?」


「うん、別に向こうも万全ではなかったかな。色々な対応が」


「そうなんですか……それなら、少しは安全ですね」


「でしょう?あっ、そうそう。はい、これ」


「ん?なんですか?」


「カルミア王国について軽く調べたのをまとめたものかな。これがあればある程度はわかると思う」


「わっ、ありがとうございます」


 僕からカルミア王国の報告書を受け取った王女様はお礼の言葉を口にするのだった。

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