ニーナの手札
僕が王女様にカルミア王国の情報をまとめた紙を渡していた時。
「お兄様?お二人で何をしておられるのですか?ずいぶんと仲良さそうですけど」
自分たちが滞在していた部屋に新しい声が響いてくる。
「んっ。ニーナ。ちょっと、僕がカルミア王国について調べてきた情報を共有していただけだよ」
「なるほど。流石はお兄様ですね。カルミア王国についてもう調べ終えているとは……」
「まぁ、元から持っていた情報等もあったけどね」
「まず、それ自体が凄いことでしょう……あぁ、それとそこの女狐」
「口の利き方」
「何でしょう?」
「私の麾下にある商会の方から戦時に使える品々を無料で配布させました。今、色々なところに行き交わせているところです。もう一人の女狐の方にも、あれと会話するのは基本的に貴方でしょう?」
「名前で呼びなさい」
「わぁ!ありがとうございます。助かります……いつも、物品は足りなくて。それで?どれほどの在庫があるのでしょうか?」
ニーナの口の利き方に言及する僕と素直な感謝を口にする王女様。
「カルミア王国と事を構えられるには十分なほどありますよ。食料も千人が一年間食えるだけのものを集められますし、武器類だった当然あります。そして、それを運べるだけの運搬能力もあります。なおかつ、傭兵の連中も五百近く集めていますし、それを支えるだけの物資も当然ありますよ」
「「えっ……?」」
そんな僕たち二人はニーナの口から出てきた中々見逃すことの出来ない重要過ぎる情報に驚愕と困惑の声を漏らす。
「そんなに……?」
「はい。私の麾下にある商会の数は多いですし、大商会もありますから。これくらいは何の問題ありません。私もカルミア王国のことは警戒していましたから。戦えるだけのものは用意してきました」
「す、すごいですね……」
「えぇ……」
一国に喧嘩を売られて、逃げるのではなく戦おうとする姿勢を見せているニーナに対し、僕は思わずちょっと引いてしまうのだった。
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