犯罪組織
僕がまだ、貴族家の一員として動いていた頃は、ゲームの知識を最大限に利用して動いていた。
そのゲーム知識の中にあったもの。
それが犯罪組織『レジスタンス』である。
元は自分たちの国の手によって滅ぼされた小国、その残党たちによって構成されていたその組織は、今となってはただ生き残っていくために犯罪行為を主として活動するだけの組織に成り果てていた。
ただ、そんな中であったとしても、彼らは完全に悪へと染まっているわけではなかった。
彼の組織には良心を持ち合わせているような人たちが数多くおり、トップである王族の末裔なんかは常に自分たちの生き方に後悔と懺悔を持ち合わせていた。
「ふんふんふーん」
そんな組織に自分たちが進むべき道を示し、犯罪に関わらずとも裏の世界で生きていけるだけの術を与えてやれば彼らは自分の下につくだろう。
そんな思惑の元で事を進めていた幼少期の僕は見事にその目論見を達成させ、レジスタンスを自分の麾下へと治めることに成功していた。
「ご機嫌ですね、アカギ様」
そして、時は流れて現代。
今に至ってもしっかりと関係を保っているレジスタンス。
そこの本部に向かうべく、僕はレジスタンスのメンバーの一人と共に下水道の中を歩いていた。
「いや、ただの振りだよ。うちの実家が暴走して……もう機嫌よい振りをするしかないよね」
「そうですか。ですが、我々は皆、ご機嫌ですよ。久方ぶりに我らのボスが帰ってきたのですから」
「言っておくが、僕はボスじゃないから。ただの相談役だよ」
「いえ、だとしても……アカギ様は我らのボスにあります。王女様もそうおっしゃっておられますから。ところで、此度に我らの元を訪れてきた理由は何でしょう?暗殺ですか?」
「いや、君たちの国を独立させちゃおうかなぁーって思って」
「……はい?」
「ニルシア小国とカルミア王国の間に緩衝地帯が出来あがれば解決だよね」
僕は自分の中にある構想を軽く口にしながら、下水道内を歩いていくのだった。
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