今後

 あっさりと告げられた王女様の言葉に僕が固まっている間に。


「ガリア様と協力関係を築けたとはいえ、兵力はそこまで多いわけじゃありません。ですから、カエサル様を始めとする一騎当千のものたちの協力を得るほかありません」


 彼女はなおも、言葉を続けていく。


「ですので、是非ともよろしくお願いしますね?」


「いや、待って?まず、戦争するでいいの?カルミア王国と。あそこはどこまで行っても世界有数の大国だよ?それに挑んでいいの?」


「賭けることにしましたので」


「……本当にそうでいいの?」


 何故か、随分と覚悟が決まっているように見える王女様へと僕は疑問の言葉を投げかける。


「えぇ、もとより、我らも常に風見鶏では国が持たないことはわかっておりましたので。どこかで、賭ける必要があったのは理解していたのですよ」


「その、賭け先がうちらで良いの……?いや、王女様は良いとしても、周りはそれを受け入れたの?」


 理解できない。

 そんな感情がどうしても消えてなくならない僕は疑問の声を王女様の方に向ける。


「説き伏せました」


「えぇ……?」


 だが、それに対して返ってくるずいぶんと男らしい王女様の言葉に僕は若干引きながら声を上げる。


「ですので、ご安心ください。我々はカエサル様と共にありますよ」


 そんな僕へと王女様は笑みを浮かべながら頷く。


「……なら、僕も覚悟を決めるかぁ」


 そこまでのことをされて、僕がこのまま逃げるというわけにもいかないだろう。


「ぶぅ」


 戦うことをもうきめかけている僕に対して、ニーナはずいぶんと不満そうな表情を見せている。


「ニーナ。一緒に頑張るよ」


「……流石に、私もこれは受け入れます。まさか、父上がそこまで向こう知らずとは思ってみもませんでした。まさか、宣戦布告という最終手段にまで出るとは思っていませんでした」


「いやぁ、そうだよね」


 僕はニーナの言葉に頷く。


「ふふっ。お二人と戦えそうで良かったです」


 辟易とした態度を浮かべている僕とニーナに対し、王女様は何処までも余裕の態度で笑みを浮かべ続けているのだった……いや、本当に大物過ぎない?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る