対応
慌てて玄関に向かった僕。
「お久しぶりです」
それを出迎えたのは妙に落ち着きの払った王女様であった。
「ふふふ、ずっと会いたかったですよ?」
久しぶりに会うのが気まずいやら、自分が原因で戦争がニルシア小国に飛び火するわで、かなり慌てていた僕に対して、王女様はもうびっくりするくらいには落ち着いていた。
「お部屋の中に入れてもらえますか?」
「あっ、はい」
「お邪魔します」
「失礼します……」
そんな僕を置いて、王女様は共に来ていた女騎士と共に自分とニーナの家に上がっていく。
「……はぁ?」
そんな二人に対し、リビングにいたニーナが不満げな声を上げているのが聞こえてくる。
「ふふふ……お邪魔いたしますね?」
「ここは私たちの家なんだけど?」
「私たちの方もお二方のせいで戦争に巻き込まれていますが?これくらいであれば許されるでしょう?」
王女様と女騎士から遅れて。
「いや、本当にごめん」
リビングの方に戻ってきた僕は王女様に対して、謝罪の言葉を口にする。
「まずはそこに座ってくれていいよ。お茶出すから」
「ありがとうございます」
「追い出しませんか?お兄様」
「あほか。非常識にも程があるわ」
自分たちのせいで戦争に巻き込まれた国の王女様がわざわざ自分たちのところまで来てくれたのだ。
その上で追い出すとか許されるはずもないだろう。冷静に考えて。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
「私の分までわざわざ……」
僕は追い出そうとするニーナを押さえつけながら、王女様たち二人へとお茶を出す。
「それで……どうする?カルミア王国から宣戦布告されたけど……何なら、僕が今から向こうの方に出向しても」
「あぁ、はい。帝国ではなく、ガリア様個人との同盟を締結し、カルミア王国と戦うことを既に決定いたしましたので、一緒に頑張りましょうね?カルミア王国くらい。私たちであれば問題ありませんよね?」
これからどうするか、という僕の疑問。
「えっ……?」
それに対して、驚くほどあっさりと答えられてしまった僕は困惑の声を漏らすのだった。
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