戦いの後
地面へと落ちていく竜の首。
「ふぅー」
それと共に地面へと降り立った僕は深々とため息を吐きながら死霊魔法の発動を辞める。
それにより、この場にいた数多くの死霊たちがその姿を霧散させる。
「疲れた」
ひっさしぶりに死霊魔法なんて使ったせいでめっちゃ疲れた。
「三人は無事だね」
なんてことを考えながら、自分の後ろにいる三人の元へと向かっていく。
「私は大丈夫だよ、おにぃ」
「えぇ、おかげさまで」」
「俺も無事だったぜ……それにしても、随分と悍ましい魔法を使うんだな。何だ?あれは」
「はぁ?お兄様に助けられておきながら、何ですか?その言い草は」
無事だと答えながら、それに合わせて死霊魔法を悍ましいとの評価を口にしたガリアへと勢いよくニーナが噛みついていく。
「まぁ、悍ましい魔法であることには変わりないよ」
だが、そんなニーナとは違って、僕はあっさりとその評価に頷く。
いや、だって、ゲームでのカエサルとかすごいからな。
自領の民を皆殺しにすることで自分の手ゴマとし、死霊の軍団を作った上で主人公へとぶつけてきたからね。あれはえっぐいよ。
「でも、だからと言って使わないわけないだろ?お前は皇帝になる際、自分の手札を一見、悍ましいからという理由で避けるのかい?」
「むっ……」
「もし、その程度の覚悟しかないならぁ……この汚い政治の世界でお前が成り上がるのは無理だから、皇帝になるのは諦めな?」
「ハッ、そもそもとして、お前は俺の手札じゃないからなぁ。遠慮なく悍ましいと罵らせてもらうぜ。うちの兄弟連中とお前が協力関係になる可能性も避けきれんからな」
「おっと」
これは一本取られた、という奴なのかもしれない。
「んで、もう一回言うけどさ、お前。俺の下につかないか?お前がいれば俺が女だって皇帝になりえる。そう、確信したわけだが?」
「それはご遠慮しておこう」
「最大限の重用するぜ?俺の婿にしてやったって良い」
「「はっ……?」」
「ご遠慮させてもらうよ」
「ちぇっ。女の告白をそんな一瞬で断るなや。俺とて緊張したんだぜ?」
「なら、もうちょい感情の機敏を見せるんだな。疑り深い貴族の目には狡猾なお前しか映らなかった」
「かっかっか。間違いでもねぇな。でも、俺がお前さんに好感触を抱いているのは間違いないぜ。あれだけ強ければなぁ、俺の隣を立つに値する」
「君は僕の隣を立つのに値しないね。もうちょっと頑張ることだな。死霊魔法を使っているときの僕をサポートできるぐらいには」
「おうおう。皇帝の一族を相手にずいぶんなことをいうじゃねぇか」
僕とガリアは共に、笑いながら、遠慮なく舌戦を繰り広げるのだった。
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