死霊ノ王

 僕と竜の激突。

 それはかなりの激しさとなっていた。


「ほぉれぇ!これで食らえっ!!!」


 僕が普段も使っているような魔法と併せて、死霊魔法も使っていく。

 炎を守った巨大な骨の腕などが竜へと伸びていく。


「ガァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」


 それらを竜は体をよじらせることですべてを破壊し、こちらへと勢いよく突っ込んでくる。


「よっと」

 

 それに対して、僕は地面に向かって急降下していく。

 地面に向かっていく僕を竜の方は愚直に信じて追いかけてくる。


「ガァァァァッ!」


「ほっ」


 僕が地面に足をつけると共に竜は勢いよく自分に向かってその巨大な腕を振り下ろしていく。

 それを数多多くの死霊たちの骨を出して盾にすることでその勢いを下げることで、何とかその攻撃を回避していく。


「行け、お前ら……その竜を殺してしまえっ!」


 僕を追って竜も降りてきた。

 それを狙って自分の魔法により、多くの死霊。人間などの地上で戦闘を行える死霊を顕現させ、攻撃を加えさせていく。


「ほぉれっ!」

 

 そして、再び上空へと上がっていった僕は死霊からの還元によって増大した己の力を最大限用いて魔法の雨を竜に向かって降り注がせていく。


「ガァァァァっ!?」


 大量の死霊がへばりつく中で、多くの魔法を浴びる竜は情けない悲鳴を上げる。


「……硬いな」


 そんな中で、僕は竜のうろこの硬さに思わず言葉を漏らす。

 戦前と同等どころか、それを超えて力を引き出させている大量の死霊たちをそのままぶつけたうえで、更に魔法の雨を降らせている中であっても、少したりとも致命傷を与えられていない。

 どれほど竜のうろこが硬いのか……考えるのも億劫になってくる。

 これはかなりの持久戦になりそうな気配があって……それだとぉ、ブレスの方もぉ。


「ァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」


 時間があれば、また再度、竜がブレスを放てるようになるのではないか?

 そんなことを僕が考えたその瞬間。

 竜の口元に大量の魔力が急速に集まってくる。


「ブレスっ!?」

 

 上空の方に頭を向けてくる竜を前に僕は防御姿勢を慌てて取る。


「……いや」


 だが……いや、これはもう一種のチャンスなのではないだろうか?


「ガァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」


 竜のブレスが放たれる瞬間に防御姿勢を解除した僕はブレスに立ち向かって、そのまま突っ込んでいくのだった。

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