悪役の力
カエサル・アイランク。
ゲームにおいては絶対的な悪役として君臨していた貴族。
非凡な才能を生まれ持っていた悪役貴族、カエサル・アイランク。
その能力は何であるか。その力は何であるか。
それは優れた剣技でも、魔法の技術でもない。
己が使っているそれらは僕が一から築き上げてきた技術であり、カエサルがゲームで見せていた悪役貴族のものではない。
「■■■」
カエサル・アイランク。
その本懐、生まれながらに持っている才能はまた、別にある。
「来たれ、屍の園」
カエサルの異名。
それは死霊ノ王である。
「ガァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
自分の元に向かってきていた竜の周りに僕の魔法により姿を現した数多多くの亡者たちの腕がその体を捕らえていく。
「ガァッ!?」
数多伸びる白骨の骨。
それは僕がこれまでため込んできた生物の手。
ありとあらゆる魔物。
ありとあらゆる人間。
ありとあらゆる生物。
僕がこれまで殺してきた生物の魔の手が竜へと群がっているのだ。
「……おにぃ」
「こ、これは……っ」
「……ッ!?」
生命の尊厳を破壊する、実に悪役らしい僕の力。
「ここからスタートだ、竜よ」
それを振るう僕は竜に対して宣言しながら、ゆっくりと魔法でもって空へと浮かびあがる。
僕が生まれながらに持っている魔法の固有属性。
火・水・風・土の基本四属性や、それら他となる氷や雷などの特殊属性。
それとは別に、ごくまれに生まれてくるその人個人だけが持っている固有属性である死霊属性が持つ力はどれもが協力で多彩だ。
死霊の召喚。死霊の強化。死霊の持つ力のバックアップ等、実に強力なラインナップがそろっている。
特に影響が大きいのは死霊の持つ力のバックアップである。
これにより、僕が保有している魔力量は二倍まで膨れ上がっているし、その他ステータスも大きく上昇している。
これこそが悪役としてのカエサルの強さである。
死霊を増やすだけで手軽に強くなれてしまうのだから。
「死霊ノ王に勝てるか?竜よ」
「ガァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
背後に数多多くの死霊を背負う僕と強大な竜の激闘。
僕たちの戦いは第二ラウンドを迎えた。
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