竜の全力
結界から解放され、本来ある力のすべてを自由に使えるようになった竜。
「ガァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
空へと昇った竜は咆哮を上げながら、天を自分の色に染め始める。
「……ッ」
雲が一つとしてないような快晴だった空が暗い雲に覆われ、地上は暖かい太陽に代わって、ゴロゴロという音を鳴らしている雷の光に取って代わられる。
「ごぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお」
その次の瞬間には低い声を上げる竜の号令により、天より地上を覆い隠すような雷の雨が降り注いでくる。
「クソったれがっ!」
雷を迎え撃つために僕も魔法によって雷を生み出してぶつけていく。
「ぐぐっ!?」
雷と雷。
二つの強大な力が何度も、何度も音を立ててぶつかり合って大きな音をその場に響かせる。
「おもっ!?」
僕とて結構な魔法のスペシャリストだと思うのだが……それでもなお、竜が落とす雷は重かった。
何とか、自分と他の三人に当たりそうな範囲の雷を打ち落とすので精一杯だった。
「……何とか」
そんな中でも、僕は何とか向こうに一矢報いられないかと魔法の準備を始める。
最初の攻防で竜を削ることは出来ている。あのまま何とか、竜の体を貫ければ……っ!
なんてことを僕が考えていた中で。
「ガァっ!!!」
竜の声が、真横から聞こえてくる。
「……はっ?」
カーテンのように自分たちの周りを覆っていた雷を突き破って、竜が顔を覗かせる共にこちらへとその大きな腕を勢いよく振り落としてくる。
「どらぁっ!」
それに対して、反応したのは僕とニーナであった。
「「ぐぐぐぐ……っ」」
共に武器を構えて竜の腕の一振りを受け止めた僕たちは苦悶の声を漏らす。
「吹きとべぇぇぇぇぇぇええええええええええええええっ!」
そんな中、ガリアが最高に魔力を込めた風魔法を竜へと叩きつけ、その体を後退させようとする。
「いけっ!」
「ささやかながら……っ!」
それに合わせて僕に、それに王女様も合わせて風の魔法を用いて竜を後退させていく。
「ぬぁっ!」
止めはニーナだ。
勢いよく振り抜いたニーナの大剣が竜の腕を吹き飛ばし、竜の体全体を後方へと強引に下がらせる。
「ガァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
その瞬間。
竜が僕たちの目の前で咆哮を上げる。
「王女様……っ!」
魔力を伴って放たれる竜の咆哮は、ただそれだけで巨大な衝撃破となって自分たちへと牙を剥いてくるのだった。
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