僕の内心が疑問で埋め尽くされているような中。


「竜……っ!?」


「そんな奴が何でこんなところに来るんだよ。適当こくのもいい加減にしたら?」


「竜……これは、ここを去るのも」


 僕の言葉を傍で聞いた三人は三者三様の反応を見せる。

 王女様は自国のことをまず第一に考え、ガリアは僕の言葉を疑い、ニーナはこちらを全肯定したうえで後ろ向きの対策を考え始める。

 んー、実に三人とも全員らしいと言えるね。うん。


「……」

 

 そんなことを考えながら、僕は竜がどんなものなのかを測定すると共に、相手へと宣戦攻撃を食らわせる為の準備を粛々と始めていく。


「「「……っ!?」」」


 ちょうどそのタイミングだった。

 他の三人もこちらに近づいてきている竜の存在を感じ取ったのは。


「こ、これは……」


「嘘だろっ!?本当に竜がこっちに向かってきて……しかも、間違いなく目的地ここだろっ!?ちょうど、俺が来ているタイミングにっ!?」


「……なるほど。中々に厳しそうな相手ですね。はて、あれに勝てる可能性は如何ほどでしょうか……お兄様と逃げるのが最善ですかね」


 ニーナ、逃げ腰過ぎない?

 既に僕はもう戦う準備を終わらせているから、今の時点で逃げるという選択肢は持ち合わせていないよ?


「んっ」

 

 先手用の魔法のストック完了。

 順調に戦闘準備を整えていく僕。


「こ、こんなの……我が国ではぁ」


「……」


 その横で二人の王族が頭を抱えている中で。


「おにぃ……逃げない?」


 ニーナが僕へと逃げることを要求してくる。


「ざこざこのおにぃじゃ、勝てないかもよ?おにぃってば肝心なところでポカするから」


「いや、本当に必要な時は決めるから。そうだったのを、ニーナも知っているでしょ?」


「それは私の為だけのものでしょう?」


 本当に独占欲強いなぁ。

 強すぎてちょっとだけ僕は引いちゃうよ?まぁ、だからといって嫌いになったりはしないけどさ。


「僕たちの定住地がここにあるんだよ?それを捨てるという選択は自分にないねっ」

 

 それを僕はうまくかわしながら、しっかりと自分が戦いに出る流れを作る。

 僕としては自分の力で助けられる人たちがいる中で、何もしないというのは嫌なのだ。


「ということで、僕は竜の撃退に向かうけど、みんなはどうする?一緒に行くならいこ。全員まとめて竜の前に飛ばせるような魔法であれば問題なく組んだから全部を僕に任せてくれればいいよ」


 竜の前に転移する準備を終えた僕はそのまま他の三人がどうするかを尋ねるのだった。

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