出陣
既に準備を終えている僕の言葉。
「私は王女として、当然ご一緒致します……カエサル様。我が国の為にありがとうございます」
「いいよ、いいよ、気にしないで」
これは現代日本人として何不自由なく暮らし、人道教育を受けてきた僕の持つ性だからね。
どうしても、自分の手で助けられる人をそう簡単に見捨てられないんだ。
「……俺も行こう」
「おっ?」
当然来ると思っていた王女様はいいとして、ガリアまで来ると思っていなかった僕は驚きの声を向ける。
「俺は皇帝になりたいのさ、歴史上初の女帝にな。そのためには少しでも俺の強さを証明したい。それにドラゴンスレイヤーの名は最高だろう?」
「僕から少しでも功績を奪えるように期待しているよ?」
「ハッ、俺が一人で何とかしてみせるぜ」
「そぉー?えっと、それでニーナはどうする?」
王女様だけではなく、ガリアの方も着いてくると決めた。
そんな中、ニーナはどうするのかを尋ねる。
「えっ?おにぃ一人を一人に出来るわけないじゃん?一人で何とかできるのぉ?」
「まぁ、ひとりじゃないし」
「ん?お兄様。私は常にお兄様と一緒にいるのですよ?なんでいらない雌がいる中で私がいないと考えると?心外ですよ、私は。ずーっと一緒にいますよ」
「あっ、はい」
「「……っ」」
そうかぁ、やっぱりニーナはそうだよね。
うん、ココ最近の僕が知ったニーナらしさ全開の答えだね、うん。
「それじゃあ、ここの四人はいいとして……周りのメンバーは」
これまで主役として会話していたのは王女様に王子として来たガリア、それに僕とニーナの二人ではあるが、この場には他にも色々な人がいる。
まずは王女様の護衛としても僕以外のものたちがいるし、ガリアの方にも多くの護衛に文官までもいる。
そんな彼らに僕は言葉を向けたのだ。
「皆さん、貴方たちはここで待っていてください。王女としての力を見せますので」
それに対し、まずは王女様が自分の部下たちに動く必要は無いと宣言する……いや、王女様の力とは?戦えなくない?
まぁ、この国に竜と戦える人材は居ないだろう中で、自国にやってきた相手の戦いを他国との繋がりが強い面々に全任せというのはメンツ丸つぶれ。
王女様が来るというのも納得だし、それを僕も受け入れる。
「お前ら、来なくていいぜ。俺がしっかりと今日もお前らが賭けたに値する自分を見せるからよ」
ガリアの方は力を絶対とする帝国の王族らしく部下に向けて自信のある言葉を告げる。
「よし、んじゃいくよ」
これで出陣のメンバーは決まったな。
そう判断した僕はこれまで準備していた転移魔法を発動させるのだった。
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