ヤンデレ妹VS王道ヒロイン王女様
新しい国
自分たちが生まれ育った地であり、アイランク侯爵家に、その貴族爵を与えている国。
広大な領土と、その内部で有する豊かな農地に多くの資源を採取できる鉱山がもたらしてくれる益によって大国としての立場を確固たるものとしているカルミア王国。
その王国の隣国。
ニルシア小国へとカルミア王国から追い出されるような形で僕はニーナと共にやってきていた。
「いやぁ、たまたま家を買えて良かったね」
「んっ。そうだね。おにぃ。ダメ元で冒険者ギルドの方でいい感じの家がないか、聞いておいて正解だったね」
カルミア王国の方では多額の金を払って毎日ホテルに連泊していた僕たちではあるが、今は違う。
僕とニーナは今、ニルシア王国の一等地に建てられているそこそこの大きさの家で二人、暮らしているのだ。
この家はニルシア王国がくれたものである。
というのもだ。
人材不足が深刻で、たとえ、未だ子供二人であったとしても逃せるはずもないAランク冒険者という強力な人材を抱き込もうとするニルシア王国が僕たちの希望する家、暮らすための住居そのものをくれたのだ。
これはまだ若いのにAランク冒険者っ!?と、騒然とした状態にしてしまったこの国の冒険者ギルドの方でぽろっとニーナが家欲しいなぁ、と告げたことで叶ったことである。
「マジでファインプレーだったよ、あれは」
おかげで今の僕とニーナは落ちついた一軒家を手にすることが出来たのだから。
「にしし。でしょぉ?これで仕事に追われる必要もなくなったし……二人でゆっくりできるねっ!おにぃ」
「ん?まぁ、そうだね。これからはゆっくりと過ごせると思うよ。」
ホテル代がなくなったということはつまり、追われるようにして依頼をこなす必要はなくなったということである。
これからは幾ばくか、ゆったりとした時間を過ごせるだろう。
「んー」
「料理とか凝るのもいいよねぇ……おにぃと二人で美味しいものを作ってそれを食べて、同じ風呂でゆっくりした後はベッドで共に眠る。あぁ……実に理想的です」
なんか、色々と新生活のことを妄想しながらぶつぶつと独り言を漏らしているニーナは無視して僕も僕で色々と思いを馳せる。
「……」
せっかく時間が出来たのだ。
もうちょっと、自分が好きで長くやっていたこのゲームという世界そのものを楽しんでみるのもいいかもしれない……そういえば、ちょうど。
ここ、ニルシア王国を舞台としたサイドストーリーの前日譚が始まる頃合いだったかなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます