襲撃
僕とニーナが警戒態勢をとったと同時に。
「おっ」
自分たちがいたホテルの窓ガラスが割られ、そこから三人の黒ずくめの侵入者が入ってくる。
「誰?」
「ごぶっ!?」
そんな黒ずくめの一人の顔面に僕は一切の迷いなく蹴りを叩き込む。
彼らが部屋の中へと飛び込んでいる真っ最中の僕の攻撃に黒ずくめの一人は反応できなかったようである。
「……死ねっ」
そんな僕に対して、ニーナはもっと過激だった。
ニーナは何も迷うことはなくベッドのわきに置いていた大剣をぶん投げて暗殺者の一人を一刀両断する。
「ちぃっ」
これで二人撃破。
残された一人はそれでもこちらへの敵対意思を見せ、その手にある鈍い光を放つ小さな刃を向けてくる。
「一応確保」
そんな男の一振りを最小限の動きで回避した僕はそのまま彼の顔面を鷲掴みとし、ちょっとした魔法で意識を昏倒させる。
これでひとまず生け捕りは確保。
「あと……何人だ?」
「五人だよ?そんなこともわからないの、おにぃ」
「……いや、僕は生け捕りに忙しかったから」
サクッと三人を倒した後であるが、まだこちらへと敵意を向けてきている者たちは存在していた。
「ってか、六人じゃね?」
「……えっ?」
ニーナの言葉だけでなく、自分の魔法でもしっかりと確認した僕が告げた言葉に彼女が呆然と言葉を漏らすと共に、更に僕たちが滞在している部屋へと窓からはもちろん、天井や壁を突き破ってまで黒ずくめの男たちが侵入してくる。
そして、その人数はピッタリ六名であった。
「ほらぁ」
「……ざ、ざこざこのおにぃのくせに!」
「はっはっは!そんなことより相手の対処よっ……どうやら、今度はしっかり強そうな感じだよ?」
「この程度私の相手じゃないもんっ!」
今回入ってきた六人は先ほどの三人よりも強いだろう。
しっかりと今回の侵入者は一切の油断なく、何処から攻撃を受けても大丈夫なように構えていた。
「ふんっ」
だが、そんなの無意味。
しっかりと警戒の通りに反応してガードした黒ずくめの男の腕ごと僕は拳一つで打ち抜き、強引に意識を奪ってやる。
そして、そのまま流れるようにしてもう一人も蹴りだけで意識を奪う。
「えいやぁっ!」
その間に、ニーナもニーナで圧倒的な力を見せてほか二人を撃退していた。
「ラス」
それを横目に最後の一人には僕は魔法で小石を爆速で飛ばすことにより、サクッと意識を飛ばさせる。
向こうも結界を貼ってはいたが、あの程度では僕の魔法は防げない。
まぁ、これでこの場に僕とニーナ以外の存在の気配は……あれ?後、一人は?
「……っ!?」
1人いない。
僕がそう気づいたその瞬間、強烈な悪寒を感じて慌てて身をよじる。
「さすが」
そんな僕の横を一振りのナイフを通り抜ける。
「……っぶね」
気配断ちの能力高すぎるだろ……ッ!
でも、さほど身体能力は高くねぇ。
「らぁっ」
僕は迷いなく自分の横を通る手を叩き落し、そのままくるりと回転。
そのまま攻撃を叩きこむ準備が出来る。
「今度こそラスト」
最後の一人。
その彼の腹へと拳を叩き込む寸前で。
「……じぃ?」
僕はピタリと動きを止めるのだった。
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