戦闘
魔法。
それは生命であれば誰もが持っている魔力を用いて発動する奇跡のことを指す。
体内にあるは何の色にも染まっていない無属性の魔力を、これまた体内の方で地、水、風、火の基本四属性の属性魔力へと変換。
そして、その属性魔力を体外に放出することによって初めて魔法となる。
「焔よ」
そんな魔法の発動プロセス。
体外へと属性魔力を放出するだけと言える魔法のプロセスに、魔法陣という一つの工程を付け足す。
属性魔力を体外に放出する際、魔法陣という魔法の在り方を決定し、如何様にも変容を加えることの出来るそれを一つ挟む。
それによって魔法を自由なものとするのだ。
「食い散らかせ」
そして、今。自分の前にいる土竜の魔物と向き合っている僕も魔法陣を用いて魔法を使用する者の一人である。
ただ無秩序に拡散していくだけであった炎の属性魔力が姿を変えて放たれるただの炎が。
魔法陣を一つ、挟むことによって、その炎の形を獅子へと変え、確固たる指向性をもって土竜へと強襲していく……えっ?さっきの口上は一体何の意味があったのか、だって?
そんなのかっこつけに決まっているだろう。
「ふふっ。観覧者の前なのでね。かっこつけさせてもらうよ」
今、自分の背中には妹を含めてではあるものの、女性陣二人の視線を浴びているという状態となっている。
ここでかっこつけなければいつかっこつけるのか、という話だよね……えっ?口上は厨二臭いくてダサい?……うるせぇ、殺すぞ。
「がぁぁァァァァァァアアアアアアアアアアアっ!」
こちらが戦闘中に下らぬことを考えている間にも、目の前で火だるまとなっている土竜は体をどったんばったんと暴れさせながら、それでもこちらへの確固たる殺意をもって自分の元へと突撃してくる。
「……ぁぁぁっ!?」
「へっ」
だが、そんな土竜は僕が土魔法で作っていた地面の凹みに躓いて勢いよく地面へと倒れる。
「よいっしょと」
そんな土竜に対して、僕は彼の地面を丸ごと沼地へと変えてその体を沈ませ、そのまま土の蔓まで伸ばして完全にその体を拘束させていく。
「ぁぁぁぁぁぁっ!?」
自分の体が沼地へと沈み、土の蔓でどんどんと拘束されていっていることに慌てた始めた土竜はジタバタと、藻掻くように手足をバタバタし始める。
「何か、ちょっとごめん」
そんな土竜の姿を前に少しばかりの可愛さと、それをこれから駆除しようとしていることに対しての罪悪感を抱きながら。
「さようならっ」
僕は一切迷うことなく地面を蹴って土竜との距離を詰め、水の魔法で作り上げた氷の剣で彼の首を斬り落としてみせるのだった。
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