小説家が記憶喪失はかなり致命的では？

第三話

と言ったはいいものの何から始めれば全くわからない。

とりあえず過去の自分の作品を読んでみよう。

すでに出版されているものを3冊ほど読んだところ考え方とかは思ったより今の自分と差はないようで安心した。

担当編集から企画書やネタ帳をもらい、書こうとしていた小説を知った。

重いテーマだが今から変更するとまた時間がかかってしまうためこのまま続行するという結論を出した。

企画書を読んだ限りターゲット層は社会に疲れた現代人。

早速矛盾が生じてしまうがほんと、昔の僕はどんな思考だったんだ。

「こんなの書きようがないじゃないか、」

胃が痛い。

頭痛がする。

鬱が悪化する。

病む。

でも、

「やるって言っちゃったもんなぁ、　逃げられない。」

「覚悟決めろ」

そんな僕の小説はきっとひどく滑稽なものだろう。