perfect swing and miss

高遠みかみ

perfect swing and miss


意図せずに髪の毛を光らせているあなたはどこも流線だった


ケーキ屋の一人息子がそうであるように無菌の顔をしている


公園の地面に書いた非対称ではない円にあなたと入る


ユーモアをおねがいします(怪物の手首のような枯れ木の写真)


なにか言いたげな表情が得意だ オックスフォード感をも纏い


あたらしい水族館を二千年見つめていればそこに咲く花


力学へ従うかぎり海水も真水もひとのかたちにくぼむ


「ブラックバスが来たよ」黒いバスが来る 喪服ではない服でよこぎる


ドアノブのすぐそばにドア どうしても夜の暗さを信じられない


傘がおおきくなったのが住宅地 死んだ作家の本だけ読む日


ならずものサイズとあなたは呼んでいる一般的なキングサイズを


預言者の淹れた紅茶が歴史書に載ることはない まずかったから


雨がまだ継続中のときにする会話があったからいまは雨


この部屋が空の真下にあるという確証がある 自慢もできる


あおいろの傘をさがしているあいだ理想の心臓について語った


永遠と有限がすき 灯台はその代表として立っている


擦り切れた活字のように打ち明ける背中を押されれば死ぬ場所で


哀しみを二度も教えてくれたから町じゅうのベーコンをあなたに


あなたの指は十人までのシンガーソングライターを数えられる !


アレグロに(つまり陽気に)駆け抜ける 空、自主的に晴れてください

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