健康診断の日・後
「えー、小田中さん。改めて検査して貰った結果なんですが――」
有給を取って、大学付属病院で精密検査を行った。
レントゲンの他にCTスキャンや尿検査、エコーなど様々な角度から俺の身体を調べていった結果――。
「特に異常はありませんでした」
「えっ」
「この健康センターで撮ってもらったレントゲンの写真に映ってる白い影――それでこれが今日撮ったものなんですが……」
2つの写真を並べて見比べると――確かに白い影が消えている。
となれば……やはり原因は“アレ”だったようだ。
「まぁ少し内臓脂肪が付いてきているので、食生活などは気を付けて下さいね」
「は、はい……」
医師にそう注意され、俺は病院を後にした。
◇◆◇
アパートの自室へ戻ると、洗面器に入れてある“それ”を手に取った。
それは細かくなった石の欠片だ。
この間、ルーノスに貰ったドリンクを早速1本飲んで――寝ている間に違和感に目が覚め、吐いたら――この欠片が口から出てきたのだ。
この事について、大家に電話で聞いてみる事にした。
『あー、それは前の変身のせいだろうねぇ。ガス全部吐き切らずに解いたから、身体の一部が石化しちゃってたんだろ』
「……それは、大丈夫なんですか」
『内臓が石化しなかったのは運が良かったんだろうね――その聖水のおかげで石化した部位も元に戻って、剥離した組織が戻らずに口から出ただけだから……多分大丈夫なんじゃない?』
「はぁ……分かりました」
大家との電話を切ると、俺は部屋のベッドへと寝転んだ。
「――これは、本物の聖水だったのか」
確か前にレイゼンが高価な品だと言っていた気がする――タダ同然で貰ってしまったのは悪い気がする。
そう思いながら、どこかホっとしていたのだろう。
俺はそのまま、ベッドで寝入ってしまった――。
この時見た夢はよく覚えていないが……とても心地よいモノだったのは覚えている。
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