虚より宙

央沼 妖鯉

プロローグ:奇神にうわべの結論を

「わあ,すごい景色だね。」


隣にいるポプンは先ほどから夜空を見上げている

都会では見られない星空だ,気分が盛り上がっているのは当然とも言えた。


ずっとこんな日が続けばいいのに,,,

満天の星空の元,ふと彼は思った。


ー力が欲しいか?ー


突然聞こえてくる声

気づけば周りの風景も変わり,まるで宇宙に漂っているようであった。


「ポプン!どこだっ。」


しかし周りを見渡してもあるのは星空と,,,

目の前に浮かび上がる巨大な人影。

それは人の形こそしているが,中身は人外なのではと思うには十分な圧力を伴っていた。


「だ,だれですか。」


思わず敬語が出てしまう。


ー私が誰かなど貴様にはわからん,,,力が欲しいか?ー


「,,,なんの話ですか。」


ー力はそなたに委ねられる,,,さあ決断せよ!ー


僕はその時,自分の中にある考えが浮かぶのがわかった。

本来なら言わないようなその考えも

このときだけは不思議と言おうという気持ちになった。

それだけ謎の声の主の言葉には説得力があったのである。


「僕は,,,親友を,ポプンを守る力が欲しい!!」


声は一拍置いて言った。


ー随分早い決断だな,,,前々から思うところでもあったのか,,,まあよいー


「え」ジュワァァァ,,,


その瞬間,右手に強烈な痛みが走る。

続いて訪れた吐き気に思わず目をつむってしまう。

そんな彼の耳に最後にとどいたのは。


ーふふふ,,,貴様が生きているなら,,また会うことになるだろうなー


それを最後に,彼の意識は闇に塗りつぶされた。

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虚より宙 央沼 妖鯉 @oonumayouri

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