5.魅了魔法
〜カルラSide〜
パーティーのメインイベントである断罪が終わった。おかげでとても気分が良いわ。アリスの大切な人たちは私の魅了魔法の虜になっているおかげで彼女は孤独になった。婚約者のアイル、王様であるハルト陛下に国民も!!ほぼ全部私のものになったのよ!!
「…おかげで土に汚れた甲斐があったわ。」
そして自分の身につけているネックレスを触る。魅了魔法をかけた職人たちにお願いして自分が取って来た小さい宝石をネックレスにしてもらったのだ。この黒い宝石は何でも願いを叶えてくれる万能な宝石。だけど数が少ないうえに魔法を弾くものだから、人々に嫌われていたのよね。おかげでこの宝石が願いを叶える力があること自体知っているのは私だけ。もし他の人が知っているというのならその時は…私の魔法で操ってあげなくては。
「…聖女様、この後はどういたしますか?」
「その前に聖女様呼びと敬語はやめて欲しいわ。」
「しかし俺は騎士ですから…。」
「あらまぁ…無理矢理強力な魔法をかけたせいで混乱しているのね?大丈夫よ。今魅了魔法で混乱すら消してあげるわ。」
そう言ってからアイルの目をしっかり見つめて呪文を唱える。
「愛の女神よ…美しさの罪を思い知らせたまえ…。」
こうやって魔法を何度もかけているのに聖獣ってほんと催眠系の魔法は効かないわよね。私だって魔法石の力を借りてやっと魔法が効くようになったのだから。
「……。」
少し待つとアイルは無表情になって私を見つめた。よし…上手く成功したようだ。
「ほらアイル。貴方は聖女である私の聖獣…つまり相棒でしょう?」
「…そうか。すまないカルラ…少しボーっとしていたみたいだ。」
「いいのよアイル。」
そう言って頬にキスすれば分かりやすくしっぽを振り始めた。今の…断罪の時にやってればもっとアリスのいい顔が見られたかしら?
「それでこの後はどうするんだ?」
「この後は洞窟に行って魔法石をもう1個調達するわ。だからアイルも着いてきて?」
「分かった。」
「それからハルト陛下たちはこれまでと同じように過ごして大丈夫よ。ただしルーシェを見つけ次第すぐに報告すること。部下や貴族たちにもそう伝えといてくれるかしら。」
「了解した。」
本当ならハルト陛下と一緒の方が権力と地位のアピールが出来るけど、国民をほぼ操っているからその必要が無いのよね。だからこれからはアリスをもっと絶望の奥底に突き落とすために利用しなくては。なんなら…かわりに私が婚約者になるっていうのもありよね。
魅了魔法で操られたお兄様たちを助けに行きます!! レモン味の林檎 @remomomon
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