4.衝撃的な事実

「そんな…。」

涙を流したアリス様は騎士たちに拘束されてしまった。

「ねぇアイル。最後にアリスに何か言ってあげてもいいかしら?」

「もちろんです聖女様。」

そう言ってカルラ様がアリス様に近づく。私も近くで見たいのに動かない女性たちの身長が高くて見えない。しょうがないから無詠唱魔法の力に頼って聞くことにしよう。

「あのねアリス…。」

うんうん小さい声でもよく聞こえるようになった。

「いなくなってくれてありがとう。」

思わずえっ?と口に出しそうになって我慢する。周りの人々が喋ってないのに私だけ喋るなんて変な意味で目立っちゃう。

「カルラ様…?何を言っているの?」

「ずっと貴方のことが邪魔だったの。いつまでたっても聖女の座を譲ってくれないから貴方の大切なもの奪っちゃった。」

「奪ったって…。」

「私ね魅了魔法は得意なのよ。だからそれで奪ってあげたの。でもほんとアイルに魅了魔法をかけるのは大変だったわ。」

そんな…ということはこの甘い匂いはカルラ様の魅了魔法だったのね。魅了魔法で操られているとしたらこの後どれだけ問い詰めたとしても意味がない。それなら魔法にかかってないアリス様を助けた方が良いかも。目の前にいる女性たちの身長が高いことをいいことに、こっそり大広間から出る。大広間のドアは開けたままだからカルラ様には気づかずに出られた。あとは近くの柱の後ろに隠れてアリス様を待とう。

「じゃあね可哀そうなアリス。」

カルラ様がそう言うと次第に足音が近づいて来た。恐らく騎士もカルラ様によって操られているに違いない。しばらく覗いて見ていると騎士がアリス様を大広間の外へ突き飛ばした。その途端に勢いよくドアが閉められたので、私はアリス様に駆け寄る。

「アリス様…!私と一緒にお兄様を助けませんか?」

とっさに出た言葉はこれだった。

「ほらアリス様だって悔しくないですか!?何もしれないのに大切な人たちを自分勝手に操られて!!」

「…悔しいわ。けどどうしてルーシェ様は操られていないの?大切な友達なのに。」

「うーん…あまり話す機会が無かったからじゃないですか?私よく体調崩しちゃいますし…。」

「それならいいのだけど…。」

「それに私が操られていたらアリス様のこと助けられないですよ。」

「そうね。ありがとうルーシェ様。あと友達なんだから敬語じゃなくていいのよ?」

「うぅ…なら私のことはルーシェって呼び捨てでいい…よ。」

「なら私のこともアリスって呼んでね。」

「え…が、頑張ってみる。」

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