3.婚約破棄と聖女
「誤解ですアイル様!!私は誰もいじめてなんていないし、そもそもまだ聖女様が誰か発表されていないじゃないですか!!」
確かに聖女様が決まったという知らせなんて私も聞いていない。私が熱を出して寝込んでいた日に発表されたとしても連絡は来るはずだし、まず聖女候補であるアリス様が知らないだなんておかしすぎる。
「ふむ…おかしいな。まさか自分だけ招待されなかったとでも言うつもりか?まぁいい…ちょうどその時にカルラ様が聖女に決まったのだ。」
ふーん…パーティーが終わったら何で連絡してくれなかったのか聞かなきゃ。
「まぁ聖女様をいじめた自覚も無いらしいから、直接聖女様から話を聞くとしよう。カルラ様…前へどうぞ。」
するとカルラ様が優雅にお兄様の隣に向かって歩き始めた。甘い匂いがまた強くなる。
「あのね忘れたとは言わせないわよ。貴方…何度も水をかけてドレスをズタズタに引き裂いたあげく教会を泥で汚したでしょう?」
「いいえ。水をかけてドレスをズタズタに引き裂いたのは貴方でしょ?そのせいで今日のパーティーに遅刻したのよ。それに教会の事件だって私は掃除をしていただけよ。」
「あらまぁ言い訳ばっかりで見苦しいわ!!」
「言い訳じゃないわよ!!」
こんなに言い合っているのに周りはこれでもかとアリス様を冷たく睨んだままで動かない。ちょっと動かないとなると不気味だな…。
「あまり時間を無駄にしたくないですから結論を言ってもよろしいでしょうか聖女様。」
「あ、ごめんなさいアイル。もういいわよ。」
「ありがとうございます。」
あれ…カルラ様とお兄様っていつの間にか仲良くなったの?
「先に結論から言わせていただくと聖女様と教会を傷つけた罪としてこの国から追放することになった。」
「…っ!」
「よって俺とアリスは婚約破棄する。」
婚約破棄?プロポーズしたいって書いてあった手紙はパーティーの2日前に届いたものだったのに。その間にいろいろ判明したってこと?
「何か言いたいことはあるか?」
「言いたいことしかないわ。聖女になる条件として聖獣に好かれることが必要だけど、カルラ様の聖獣はどこにいるの?」
「あらま。貴方も知っているでしょ?ここにいるアイルが聖獣よ。」
ちょっとお兄様!?あれだけお父様たちに聖獣のハーフであることがバレたら駄目だって言われたじゃない!!
「厳密には聖獣と人間のハーフだがな。それでも聖獣の姿になることは出来る。」
するとお兄様は白い耳としっぽを隠していた魔法を解除した。凄くきれいな毛並み…じゃなくてなんてことしてるのよ!!フリータイムになったら真っ先に問い詰めてやるわ!!
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