無あるいは表と裏

@mia

無あるいは表と裏

嘘つきに飲ます残りを針供養


ダリアダリア拳の痛む色に咲け


君といて肩がこるのはコートのせい


飛び飛びに光る形見の聖樹あり


髪みたく生家を覆う竹の春


幾重ものネオンの向こう朧月


走る走る死ぬまで走る八月を


冬木立ポツンと光るラブホあり


吾の生を見下ろしている福達磨


君と吾と誰の足跡夏の浜


夏の香をたどり旅館の開かずの間


親族の会食という踏絵の日


全て捨て無縁仏となる西日


流れ星消えた願いも君も吾も


蚯蚓鳴く庭夫が消え痣が消え


薔薇を食む君の二つ目の命


ひとりきり千の風鈴とまる時


昨夜見たそこに昼間もいた蛍


指切りの重みの違いクリスマス


虎が雨現場を囲うブルーシート

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