第2話
やっと有能そうなスキルが手に入って、来月からは狩りにも連れて行って貰えることになった。
取り合えず【ナイフ投げ】の命中率や威力を上げるようと思って、毎日毎日木に向かって投げ続けた。
狩りの時は動き回る動物を狙うからちゃんと当たるか不安すぎる。
今日は、初めて狩りに行く日!
普段は最初から鹿とか猪の大物狙いで行くらしいけど、俺の為に野ウサギを目標にしてくれた。
先輩たちにレクチャーを受けて、ナイフでは致命傷にはならないだろうから、逃げられないように脚を狙うようにと言われた。
更に、動けなくなった獲物にとどめをさす用にとナタのような刃物を渡された。
しっかりとやり遂げて、これからは少しずつ狩りに連れて行って貰うんだ!
森に入って10分ほどで野ウサギを見つけた。
みんな無言で頑張れというように頷いて俺に譲ってくれた。
ズバッ!!
見事に野ウサギの脚にナイフが突き刺さった。これで動けなくなった。
俺はゆっくり近づいてナタで野ウサギを・・・ズバッ!
そこで俺の意識は途切れた。
俺は・・・
俺は・・・
現代っ子だった。
その中でも特にお馬鹿な方で小さい頃は魚が開きや切り身の状態で泳いでいると思っていたくらいだった。
ゲームはRPG系が大好きで沢山やった。どのゲームでも敵を倒すと経験値とドロップアイテムに変わる。
今住んでいるのは農村だからそれぞれが作ったものなんかを物々交換するのが当たり前だ。
我が家は農家だからお肉や魚は切り分けられたものが届いていた。
だから、思い込んでしまっていたんだ。
狩りに行って獲物を倒したらお肉の塊が落ちると・・・
ここは異世界だけどゲームじゃなかった。
目を覚ました俺は、家のベッドに寝かされていた。
野ウサギから噴き出した血を浴びて気絶してしまったからだ。
怖かった。茶色いフワフワした毛皮から真っ赤な血が・・・
最初だから仕方ないと言われ、その後も狩りに連れて行って貰ったけど、毎回俺は気絶した。
現代の知識なんて無ければ、前世の記憶なんてものが無ければ受け入れられただろう現実を直視できなかった。
5回も失敗が続いたせいで狩りには連れて行って貰えなくなった。俺を背負って帰らなければいけないから捕れる獲物が減って効率が悪すぎるからだ。
まずは、解体所で死体や血に慣れて大丈夫ってなるまではダメだと決定したらしい。
解体所に来るのは狩りの後で血抜きをされた獲物なので大量出血は無かったから頑張ったけど、やっぱり手がプルプル震えてしまう。
農作業と解体作業を終えた後、俺は毎日教会へ行く。
何とか血に対する耐性とか精神的に強くなれるスキルが貰えたらと祈り続ける。
異世界は、ゲームじゃないんだ・・・・・
俺は・・・
記憶さえ無ければ・・・
異世界転生者の大失敗 パート2 弥生 @ya_yo_i
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