あつけらかん 🥳

上月くるを

あつけらかん 🥳



花南天ひとりの家に小さき福

気持ちよく晴れたる空や青芒


朝市の胡麻和へのごま滋味深し

手の平のレタスの重み歓喜かな


あつけらかんと笑ふがよろし夏の空

うたはずにゐられぬ身なり花みかん


渓流の花の真白や夏の蝶

保護犬の推定歳や二重虹


びつしりと牛の睫毛や草いきれ

によつきりと五重塔や夏わらび


目のなかに月日星棲む三光鳥

存在を他に拠らしめて若葉風


日かげてふ恩寵知らず立葵

老鶯の声に華やぐ雑木かな


骨または胸のきしみや青ぐるみ

あるときの愛は一通さくらんぼ


打つための腕にはあらず源五郎

蹴るためのあしにはあらず水馬


とりとめのなき一日や豆ご飯

考へる一個体として明け易き




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