都市の循環

望月(もちつき)

都市の循環

心臓の脈打つ声が聴こえる


何色の空でも

視界を遮る、細長くて黒い血管


天気予報は

太くて暗い血管が地中に広がっている 

ことを予測しない


雨は知らないだろう

変わらない道標は迷路のまま

地表に広がるのは入り組んだ数多の血管 


透明な血液が流れている


何層にも重なったレイヤーは瘡蓋かさぶたになって

痛みを繰り返して強くなった


心臓が動いている

大きなエネルギーが循環している


地下には解けない有線ケーブル

心臓の彩が広がり、揺れる


わたしは

血小板になって 

動いて、流されて、心臓を動かす

臓器に入って、通過していく通過点 


透明な血液に流されていく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

都市の循環 望月(もちつき) @komochizuki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説