第3話
《嘆きのピラミッド》最下層は、キラーアントによって支配されている。
キラーアントは目が退化しており、熱源に反応して襲撃してくる。
「ステラ。キラーアントからの襲撃を回避したいから、温度を偽装してくれ」
「かしこまりました」
精霊術師は、周囲の環境に溶け込んで、モンスターとのエンカウントを回避することができる。
特に、キラーアントのように、視覚に頼らないモンスターに対する効果は絶大だ。
《嘆きのピラミッド》とピロノ砂漠の地下を繋ぐ通路は、魔法鍵によって封印されている。
アンロックの杖を使用し、魔法鍵を開けた。
すると、破滅教徒の熱に反応したキラーアント達が、一斉に侵攻を開始した。
北ルートを選択して《嘆きのピラミッド》を攻略した場合は、キラーアントを有効活用することで、破滅教団の儀式を阻止して、ハッピーエンドに到達することができる。
後は、待つだけだ。
キラーアントは、高難易度ダンジョン《嘆きのピラミッド》の最下層を支配する、強力なモンスターだ。
破滅教徒は、対人間戦闘に特化しているので、キラーアントには勝てない。
1時間ほど待って、地下に向かうと、破滅教徒たちは全滅していた。
床に描かれていた魔法陣を消去して、儀式の阻止を完了した。
「これで、ピロノ砂漠の異変は解決したのでしょうか?」
「ああ」
キラーアントとの戦闘を回避して、ボス部屋に向かった。
回復の泉の水を飲んで、HP・MPを回復した。
《嘆きのピラミッド》最下層のボスは、キラーアントクイーンだ。
キラーアントクイーンは、キラーアントを大量に召喚してくるので、その前に倒さなければならない。
「【メテオフォール】」
呪文を詠唱すると、空から大量の隕石が降り注ぎ、キラーアントクイーンを瞬殺した。
メテオフォールは、無属性の最上級攻撃魔法だ。
キラーアントクイーンは、全属性耐性を持つので、無属性以外の攻撃魔法はほとんど効かない。
ボスを倒すと、撃破報酬としてボス宝箱を開けることができる。
キラーアントクイーンの撃破報酬は、エリクサーだ。
エリクサーを使用すると、HP・MPを完全回復することができる。
エリクサーはレアアイテムであり、店で購入することはできない。
転送装置を使って、俺達は地上に帰還した。
◇
破滅教団は全滅させたが、《ピロノ砂漠の異変調査》はまだ終わっていない。
ピロノ砂漠を歩き回り、異変が解決したことを確認しなければならないのだ。
「暑いな……。ステラ、快適な温度に調整してくれ」
「かしこまりました」
精霊術師は、周囲の環境を調整することができる。
アークス・ファンタジアでは、精霊術師は必須ジョブだ。
確認を終えて、俺達は《ピロノ砂漠の異変調査》を終了した。
◇
クエスト達成報酬は、冒険者ギルドで受け取ることができる。
《ピロノ砂漠の異変調査》の達成報酬は、50000Gだ。
そして、クエスト《ラスペリウム公爵令嬢を救え!》を受注した。
「賢者アレン様。クエストを引き受けてくださり、ありがとうございます」
ラスペリウム公爵家当主グラガスは、丁重に頭を下げた。
俺は賢者であり、賢者は国王と同等の地位を持つので、公爵家当主よりも偉い。
「前置きはいいから、状況を説明してくれ」
「かしこまりました。私の一人娘であるエステルは、不治の病に侵されております。今は意識不明の状態です。医者を何人も呼びましたが、原因はまったく分かりませんでした。エステルは、日に日に弱っております。このままでは、余命はあと一週間ほどでしょう。お願いします。報酬は、どんな物でも用意しますから、エステルを救ってください!」
「ああ。俺に任せてくれ」
グラガスに案内され、俺達は病室に到着した。
病室では、エステルが眠っていた。
呼吸は浅く、肌は青白かった。
「どうですか、賢者アレン様? エステルを治療することはできそうですか?」
「ああ。俺は【眷属化】を使用できる。賢者はあらゆる状態異常を無効化するから、俺の眷属になれば、自動的に病気は治療されるぞ」
本来であれば、《ラスペリウム公爵令嬢を救え!》では、エステルの病の原因を探り、治療法を見つけなければならないが、賢者であれば、【眷属化】スキルを使用することで、いきなりエステルを治療することができる。
「本当ですか! ありがとうございます。私には弟がおりますので、公爵家は弟に継がせましょう。賢者アレン様は、どうか、エステルを幸せにしてやってください」
こうして、俺はエステルの治療を開始した。
まず、【眷属化】スキルを使用して、エステルの病気を治療する。
しかし、病気は完治しても、長い闘病生活で体力が落ちているので、回復には時間がかかる。
エリクサーを使用すれば、即座にエステルを完全回復させ、仲間としてパーティーに加えることができる。
迷わず、俺はエリクサーを使用した。
RPGでは、「エリクサー症候群」として、HP・MP全回復アイテムを出し惜しむ人が多いが、アークス・ファンタジアにおけるエリクサーはイベントアイテムなので、積極的に使用するべきだ。
「……あら? ここはどこかしら?」
起き上がったエステルは、困惑したような表情を浮かべた。
エステルは、金髪紫瞳の美少女だ。
胸はとても大きい。
アークス・ファンタジアはエロゲなので、ヒロインの大半は巨乳美少女だ。
俺達は、エステルに事情を説明した。
「……そうなの? 賢者様の眷属になれるのなら、光栄だわ」
そう言って、エステルは小さく頷いた。
エステルは姫騎士だ。
姫騎士は最上級職であり、非常に優秀なジョブだ。
アークス・ファンタジアでは、ジョブ間の格差が大きいので、優秀な最上級職を揃えることが重要だ。
こうして、俺達は《ラスペリウム公爵令嬢を救え!》を達成した。
クエストの達成報酬として、エステルの装備一式である、姫騎士の剣・姫騎士の鎧・姫騎士のブーツ・姫騎士のティアラを受け取った。
姫騎士シリーズは、姫騎士専用の最強装備だ。
姫騎士の鎧はビキニアーマーであり、布面積は小さい。
アークス・ファンタジアはエロゲなので、強い装備ほど布面積が小さくなる。
早速、エステルに姫騎士シリーズを装備させた。
「……うう、恥ずかしいわ」
「似合ってるぞ」
「……そ、そうかしら?」
そう言って、エステルは嬉しそうに微笑んだ。
◇
冒険者ギルドで、クエスト《ゴブリン討伐》を受注した。
アークス・ファンタジアはエロゲなので、ゴブリンは姫騎士を襲うものだ。
「グギャギャギャ!」
早速、ゴブリンの群れが現れた。
「【ライトニングボルト】」
ゴブリンは弱いので、ライトニングボルト一撃で倒せる。
レベルが上がるまで、俺達はゴブリンを倒し続けた。
◇
30分ほどゴブリンを倒し続けて、ようやくレベルアップした。
「……これ、もしかして、魔王軍の紋章かしら?」
エステルは、ゴブリンの装備していた剣を拾い上げた。
エステルをパーティーに加入させた状態でゴブリンを一定数倒すと、イベントフラグが成立する。
「ああ。魔王は既に復活して、力を取り戻しつつある」
魔王軍は、モンスターを率いて、人類を滅ぼすために活動している勢力だ。
ルート次第では、ラスボス勢力になる。
アークス・ファンタジアでは、ラスボス勢力候補は複数存在し、主人公の行動によって、ラスボス勢力が決定される。
魔王軍がラスボス化すると非常に厄介なので、先に倒しておきたい。
こうして、俺達は魔王軍との戦闘を開始した。
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エロゲ世界に転生したので、美少女を眷属化して最強パーティーを作ります! 天野 彼方 @amanokanata
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