第3話

《嘆きのピラミッド》最下層は、キラーアントによって支配されている。


 キラーアントは目が退化しており、熱源に反応して襲撃してくる。


「ステラ。キラーアントからの襲撃を回避したいから、温度を偽装してくれ」


「かしこまりました」


 精霊術師は、周囲の環境に溶け込んで、モンスターとのエンカウントを回避することができる。


 特に、キラーアントのように、視覚に頼らないモンスターに対する効果は絶大だ。


《嘆きのピラミッド》とピロノ砂漠の地下を繋ぐ通路は、魔法鍵によって封印されている。


 アンロックの杖を使用し、魔法鍵を開けた。


 すると、破滅教徒の熱に反応したキラーアント達が、一斉に侵攻を開始した。


 北ルートを選択して《嘆きのピラミッド》を攻略した場合は、キラーアントを有効活用することで、破滅教団の儀式を阻止して、ハッピーエンドに到達することができる。


 後は、待つだけだ。


 キラーアントは、高難易度ダンジョン《嘆きのピラミッド》の最下層を支配する、強力なモンスターだ。


 破滅教徒は、対人間戦闘に特化しているので、キラーアントには勝てない。


 1時間ほど待って、地下に向かうと、破滅教徒たちは全滅していた。


 床に描かれていた魔法陣を消去して、儀式の阻止を完了した。


「これで、ピロノ砂漠の異変は解決したのでしょうか?」


「ああ」


 キラーアントとの戦闘を回避して、ボス部屋に向かった。


 回復の泉の水を飲んで、HP・MPを回復した。


《嘆きのピラミッド》最下層のボスは、キラーアントクイーンだ。


 キラーアントクイーンは、キラーアントを大量に召喚してくるので、その前に倒さなければならない。


「【メテオフォール】」

 呪文を詠唱すると、空から大量の隕石が降り注ぎ、キラーアントクイーンを瞬殺した。


 メテオフォールは、無属性の最上級攻撃魔法だ。


 キラーアントクイーンは、全属性耐性を持つので、無属性以外の攻撃魔法はほとんど効かない。


 ボスを倒すと、撃破報酬としてボス宝箱を開けることができる。


 キラーアントクイーンの撃破報酬は、エリクサーだ。


 エリクサーを使用すると、HP・MPを完全回復することができる。


 エリクサーはレアアイテムであり、店で購入することはできない。


 転送装置を使って、俺達は地上に帰還した。





 破滅教団は全滅させたが、《ピロノ砂漠の異変調査》はまだ終わっていない。


 ピロノ砂漠を歩き回り、異変が解決したことを確認しなければならないのだ。


「暑いな……。ステラ、快適な温度に調整してくれ」


「かしこまりました」


 精霊術師は、周囲の環境を調整することができる。


 アークス・ファンタジアでは、精霊術師は必須ジョブだ。


 確認を終えて、俺達は《ピロノ砂漠の異変調査》を終了した。





 クエスト達成報酬は、冒険者ギルドで受け取ることができる。


《ピロノ砂漠の異変調査》の達成報酬は、50000Gだ。


 そして、クエスト《ラスペリウム公爵令嬢を救え!》を受注した。


「賢者アレン様。クエストを引き受けてくださり、ありがとうございます」


 ラスペリウム公爵家当主グラガスは、丁重に頭を下げた。


 俺は賢者であり、賢者は国王と同等の地位を持つので、公爵家当主よりも偉い。


「前置きはいいから、状況を説明してくれ」


「かしこまりました。私の一人娘であるエステルは、不治の病に侵されております。今は意識不明の状態です。医者を何人も呼びましたが、原因はまったく分かりませんでした。エステルは、日に日に弱っております。このままでは、余命はあと一週間ほどでしょう。お願いします。報酬は、どんな物でも用意しますから、エステルを救ってください!」


「ああ。俺に任せてくれ」


 グラガスに案内され、俺達は病室に到着した。


 病室では、エステルが眠っていた。


 呼吸は浅く、肌は青白かった。


「どうですか、賢者アレン様? エステルを治療することはできそうですか?」


「ああ。俺は【眷属化】を使用できる。賢者はあらゆる状態異常を無効化するから、俺の眷属になれば、自動的に病気は治療されるぞ」


 本来であれば、《ラスペリウム公爵令嬢を救え!》では、エステルの病の原因を探り、治療法を見つけなければならないが、賢者であれば、【眷属化】スキルを使用することで、いきなりエステルを治療することができる。


「本当ですか! ありがとうございます。私には弟がおりますので、公爵家は弟に継がせましょう。賢者アレン様は、どうか、エステルを幸せにしてやってください」


 こうして、俺はエステルの治療を開始した。


 まず、【眷属化】スキルを使用して、エステルの病気を治療する。


 しかし、病気は完治しても、長い闘病生活で体力が落ちているので、回復には時間がかかる。


 エリクサーを使用すれば、即座にエステルを完全回復させ、仲間としてパーティーに加えることができる。


 迷わず、俺はエリクサーを使用した。


 RPGでは、「エリクサー症候群」として、HP・MP全回復アイテムを出し惜しむ人が多いが、アークス・ファンタジアにおけるエリクサーはイベントアイテムなので、積極的に使用するべきだ。


「……あら? ここはどこかしら?」


 起き上がったエステルは、困惑したような表情を浮かべた。


 エステルは、金髪紫瞳の美少女だ。


 胸はとても大きい。


 アークス・ファンタジアはエロゲなので、ヒロインの大半は巨乳美少女だ。


 俺達は、エステルに事情を説明した。


「……そうなの? 賢者様の眷属になれるのなら、光栄だわ」

 そう言って、エステルは小さく頷いた。


 エステルは姫騎士だ。


 姫騎士は最上級職であり、非常に優秀なジョブだ。


 アークス・ファンタジアでは、ジョブ間の格差が大きいので、優秀な最上級職を揃えることが重要だ。


 こうして、俺達は《ラスペリウム公爵令嬢を救え!》を達成した。


 クエストの達成報酬として、エステルの装備一式である、姫騎士の剣・姫騎士の鎧・姫騎士のブーツ・姫騎士のティアラを受け取った。


 姫騎士シリーズは、姫騎士専用の最強装備だ。


 姫騎士の鎧はビキニアーマーであり、布面積は小さい。


 アークス・ファンタジアはエロゲなので、強い装備ほど布面積が小さくなる。


 早速、エステルに姫騎士シリーズを装備させた。


「……うう、恥ずかしいわ」


「似合ってるぞ」


「……そ、そうかしら?」

 そう言って、エステルは嬉しそうに微笑んだ。





 冒険者ギルドで、クエスト《ゴブリン討伐》を受注した。


 アークス・ファンタジアはエロゲなので、ゴブリンは姫騎士を襲うものだ。


「グギャギャギャ!」


 早速、ゴブリンの群れが現れた。


「【ライトニングボルト】」


 ゴブリンは弱いので、ライトニングボルト一撃で倒せる。


 レベルが上がるまで、俺達はゴブリンを倒し続けた。





 30分ほどゴブリンを倒し続けて、ようやくレベルアップした。


「……これ、もしかして、魔王軍の紋章かしら?」


 エステルは、ゴブリンの装備していた剣を拾い上げた。


 エステルをパーティーに加入させた状態でゴブリンを一定数倒すと、イベントフラグが成立する。


「ああ。魔王は既に復活して、力を取り戻しつつある」


 魔王軍は、モンスターを率いて、人類を滅ぼすために活動している勢力だ。


 ルート次第では、ラスボス勢力になる。


 アークス・ファンタジアでは、ラスボス勢力候補は複数存在し、主人公の行動によって、ラスボス勢力が決定される。


 魔王軍がラスボス化すると非常に厄介なので、先に倒しておきたい。


 こうして、俺達は魔王軍との戦闘を開始した。



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エロゲ世界に転生したので、美少女を眷属化して最強パーティーを作ります! 天野 彼方 @amanokanata

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