8.はなのおもかげ


 切り取った影

 色をとめて

 やがて降り注ぐは

 追想のしだれ桜

 まるで行き止まりだね

 花一匁はないちもんめ


 震えるほど

 繰り返す

 喜怒哀楽

 負けて虚ろな無になるよ

 わたしはどこ?


 宵闇のうち

 いつしか祈る指も

 影を並べて

 散りゆくはなびら

 数えはじめる

 これじゃあ

 足りないね

 どうかお願い

 と

 愛を願う




 君の面影

 色をうばって

 やがて胸に宿るは

 追憶のかすみ桜

 まるで行方不明だね

 花一匁はないちもんめ


 狂えるほど

 染みついた

 愛想笑い

 花を折って嬉しいな

 手の鳴る方へ


 雨夜の月

 いつしか曇る瞳も

 色が褪せた

 枯れゆくはなむけ

 束ねはじめる

 なつかしい

 においだね

 こっちにおいで

 と

 愛にささやく


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