3.晩年のアリア


 愛はいつまで廻り続けるの?

 たとえば永遠の先でお互いが

 誓いの言葉を不連続に並べてみたって

 穴があいた声はもう届かないのに


 泣いて 怒って 愛に病めて別れたとしても

 運命って言葉が本物だったならば

 わたしは神様に託されていたのかな?

 他人任せの縛られた愛

 まるで捨て損ねたエンゲージリング


「わたしを泣かせてください、どうか、どうか」

 震える声で身体中から 愛を叫ぶ

 この世界に時間は足りなくて

 語り尽くせないほどの言葉が 涙を満たしている




 愛はどこまで巡り続けるの?

 たとえば永遠の先でつまづいて

 汚れた手のひらを光の先へ重ねてみたって

 消えた道しるべはもう遥か彼方よ


 いつか 年老いて 愛を支えられなくなっても

 涙を流した昨日が本物だったならば

 あなたの泣き顔をそっと見届けるから

 安心して眠りについてね

 ずっと最後まで手を握っているから


「あなたに自由をください、どうか、どうか」

 震える指が身体の芯から 明日を呼ぶ

 この世界は時間に囚われて

 数えきれないほどの運命さだめが 涙を繰り返している




「わたしを泣かせてください、どうか、どうか」

 震える声が身体を巡り 空へゆく

 この世界は別れに満ちていて

 語り尽くせないほどの生命いのちが また一つにつながる


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