みたい

うたた

みたい

にんげんをぶるーらいとにしばるのははるかむかしのたきびのきおく


どうしてもぼくはうさぎになれなくて月のひかりがどうもまぶしい


黒猫はきらいだったの、あの朝にこの子が夜を連れてくるまで


凝らすのだ、蠑螈いもりみたいなまっくろでつややかな目をおとなの闇に


つまらないしかない部屋の窓枠にむりやり伸びるかたつむりの目


玄関がひらきたがらなかったからゆっくり行くとしますか、今日も


黒板に消えない跡をつけた時ぐらいにぞっとする森の青


赤シートでは隠せない赤もあるどこかで響く銃声だとか


抜け殻をひろってしまう窮屈になった制服みたいに見えて


ポロシャツの第二ボタンをあけながら涼しい夏のはずだったんだ


「起立、礼、着席、今日はゆめをみるために机で寝ていいですか」


うっすらとチョークで描いた白昼夢消される前に目覚めておいで


パイプ椅子みたいな音をたてながらそれでも歩きつづけてしまう


届けたい叫びも広い宇宙ではピアニッシッシモにしかならない


バイクやら電車が走る轟音にかぶせて歌うだれかの願い


ばらばらとビニール傘を鳴らすのは(そらがうけとめきれないなにか)


大雨に打たれても葉は伸びていくだれも知らないくうにむかって


ころ、ころ、と胸の隙間に繋がれたこいぬみたいな孤独をほどく


ただしさをコンピューターにまかせたらまちがいながらひとになろうよ


スマートに加工アプリを使えないわたしはそらの素顔がみたい

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みたい うたた @asimoto

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