コロナと僕と大学と【二十首連作】

杉野みくや

僕とコロナと大学と

春が来た 希望を胸に 抱いたが 入学式は取り止めの一報

 

ひと月過ぎ やっと講義が 始まるも 部屋でひとり PCと睨み合う

 

新歓も 飲み会も全て リモートで 顔は見えてるのに 縮まらぬ距離

 

三密を 回避するため 家こもり 気づけば顔がふっくらまんまる

 

友人と 呼べるような人は 誰もいない 気づけば年越し 一年が終わる


 

桜咲く 一年越しの入学式 会話の輪に 入れず焦る

 

「来年に なればきっと 変わるかも」昨年の希望は 桜と共に散る

 

ワクチンの 副反応で ベッド伏す かつての日常 夢見て辛抱

 

夏が明け 一部で対面 解禁す 面と向かえる 喜びひとしお

 

二十歳の日 成人式に 足運び 友とマスク越しに 笑い合った日


 

対面の 新歓知らぬ 世代たち 今年もリモートで 歓迎せしめる

 

就活の 足音近づく 夏休み インターンは全て 家で完結

 

熱が出て 「まさか自分が」と 疑った ホテルに隔離 濃厚ひやり

 

2年ぶり 初めてだらけの 大学祭 手探りしながら 祭りに興じる

 

ガクチカと 睨み合うこと 三時間 大学生活 返せと恨む



コロナ明け 対面講義 増えてゆく 遠隔時代の 楽さ名残惜し

 

「新歓も 飲み会も全て 対面です」

新入生の 眼差し眩し

 

何回も 祈られ祈られ でもめげず ようやく掴んだ 『内定』の二文字

 

卒論と 遊びとバイトを 往来し 休まる間もなく 時は過ぎ行く

 

春が来た 桜の足元 笑顔咲く 思い出胸に 僕は前を向く

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