第5章 幽体離脱

『湯水様お待ちしておりました。早速奥の院へご案内いたします。』


と、またもや例の背の高いスーツ姿の男が言った。


金子『よ、宜しくお願いします。』


院内に入ると、看護婦さんがやって来た。


看護婦『湯水さん疲れたでしょう。こんな山奥までわざわざねぇ〜。早速お部屋へ案内しますね。』


金子『あ、は、はい、今日から2日間宜しくお願いします。』


挨拶もそこそこにエレベーターに乗り込み看護婦さんが5皆のボタンを押した。

5階に降りるとそこはホテルと見間違えるほど立派な作りであった。

フカフカなカーペットの廊下にエレベーターホールにはロココ様式の鏡や、立派な生花が飾ってある。


看護婦『湯水さんのお部屋は5K210号室ですね。』


金子『あ、あの〜私以外誰か泊まってる方いらっしゃるんですか?』


看護婦『……いるには、いるのですが…もし、見かけても話しかけてはダメですよ。』


と言った。何でも訓練中なので話しかけると訓練にならないのだとか…


金子『どう言う意味ですか?全然理解できないのですが…』


看護婦『その内わかります。』


と言った。そして私を部屋の前まで送り届けると、


看護婦『ゆっくり休んでくださいね。夕方お部屋にお電話しますので、それまでゆっくりして下さい。』


と言って戻って行った。


部屋に入ると、何とゴージャス!ベッドはキングサイズでアメニティも高級ブランドだし、ウェルカムフルーツもある!

一気にテンション爆上がりした!窓から山々の緑が美しく絵画の様だ。


金子『最高!高級ホテルより高級やん!』


と訳のわからない言葉を発しキングサイズのベッドにダイブした金子だった。


疲れのせいかいつの間にか寝てしまった。


『プルルル…プルルル…プルルル…』


電話の音で目が覚めた。


金子『もしもし…』


看護婦『夕食の準備が出来ましたのでB1までお越し下さい。』


金子『わかりました〜』


B1に降りると食堂があった。食堂と言うか、レストランだ。

A5ランクの和牛に、魚介などの鉄板焼きだ!


金子『当然よね!高いお金払ってんだから❤️』


金子『しかし、こんな山奥にこんな凄い施設。採算取れるのかしら…』


と疑問に思ったが、腹減りには余り関係がなかった。


金子『頂き女子〜♪う〜ん!美味しい〜』


と至福の時を過ごしコーヒー飲みながら寛いでいた。

すると、問診をした医者が迎えに来た。


医者『お食事如何でしたか?』


金子『めちゃくちゃ美味しかったです!』


医者『それは何より…それでは色々説明もありますし、トレーニングルームにご案内します。』


と言い歩き出した。同じB1なのだか、迷路の様に右行ったり、左に行ったり。

エレベーターホールは、もはや何処かわからない。

すると、レコーディングスタジオの様ないかにも防音がしっかりとしていそうな扉の前でとまった。

約10畳程の部屋の中に入るとやく音響設備が凄い。素人ながら凄いと感じるほどだ。

部屋の中央には寝心地よさそうなベッドにベッドホンが置いてある。


医者『まぁ、その辺の椅子にかけて下さい。これから、あなたは明晰夢を見るトレーニングを行って貰います。』


金子『明晰夢?』


明晰夢とは、夢の中で夢として認識している状態だと言う。それが出来るようになったら幽体離脱の訓練をするらしい。

通常普通の人でも訓練すれば約半年くらいでできる様になるそうだ。

が、この施設では早くて2日遅くても4日以内にできる様になるそうだ。


医者『これからヘミシンクで明晰夢に入って頂きます。明晰夢の状態になりやすい様に我々が独自に開発したお薬を飲んでもらいます。

勿論、違法な薬物ではありません。ペルーに生息する植物を使用した天然のお薬なので安全です。』


金子『ほ、本当に、だ大丈夫ですか?』


医者はこのお薬ですと言いお茶の葉っぱを砕いた様なものを見せた。

そして、医者本人が飲んでみせた。


医者『このお薬のんだから、何かなるとかではなく、ヘミシンクを聞く事で効果がでます。つまり、明晰夢を見やすくなるのです。』


金子『ヘミシンクとは?何ですか?』


医者はヘミシンクについて説明してくれた。

ヘミシンクとはアメリカ🇺🇸ヴァージニア州にあるモンロー研究所で開発された。


以下、アクアビジョン.アカデミーショップ引用


左右を通じて異なる周波数の音を聞かせることで、特定の意識状態を実現する音響技術です。 この音声技術は、米国のモンロー研究所により開発され、既に四半世紀もの間、医療従事者をはじめとする世界中のファンにヒーリングCDや癒し音楽として、または、音楽療法に活用されています。


YouTubeでも聞く事が出来、これを聞いて幽体離脱を成功させた人も多数存在する。

読者の皆さんはくれぐれも興味本意で行わないで欲しい。安全の保証はないからである。

どうしても試したいのなら自己責任でお願いします。


本文にもどります。


一通り説明を受けた金子。最終的に幽体離脱をして仮想空間のアバターに幽体を入れ

現実と変わらない体験を提供する団体何だとか…

つまり、仮想空間の中なら何でも夢が叶うのだ!

安全性があるのならば、これは物凄いビックビジネスだと感じる金子だった。


医者『と言う事で私どもの目標は、誰でも簡単に幽体離脱が出来る様にする事なのです。 しかし、今の所、出来る人出来ない人がいる。』


医者は続けた。


医者『そこで我々はある薬を開発したのである。人体に影響が一切なく、しかしヘミシンクの周波数に反応するお薬。』


つまりは、金子は治験に参加している様な物だと。

が、金子は疑問に思う。もし、治験だとしたら逆にお金貰うのは被験者側ではないのか?


医者『はい、おっしゃる通りです。治験参加者にはお金をお支払いしております。

湯水様は治験に近いですが、違うプログラムなのであなたからお金を頂いております。』


金子『ん?どう言う事でしょうか?』


医者『転斎様から何も聞かれてないのですか?』


金子『秘密なので言えないと…』


医者『なるほど。わかりました。簡単に言うと、湯水様はアストラルSEXを自由に出来るプログラムなのです。』


金子『アストラ…SEX…』


つまり、幽体同士で性行為が行えると言う。ハリウッドセレブの一部分の人達に流行っているのだとか…

佳代の言葉を思い出した。


『この世では味わえない快楽よ』


なるほど。ますます興味が湧いて来た。肉体同士では無いのだから病気にもならないし、浮気にもならないはず。

厳密には浮気だと思うが、証拠がない訳で…これは楽しそうだ!


金子はすっかり乗り気だった!


金子『先生、早く、早く始めましょ!幽体離脱マスターになりたいです!』


医者『ハハハ。まぁ焦らないで。段階がありますので、先ずは明晰夢を見る事が出来ないと話になりません。』


明晰夢とは睡眠中に見る夢を夢だと自覚して見る夢であり、慣れてくるとシュチュエーションを自在にコントロールできる。

つまりは、見たい夢が見られる様になる。

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、約2時間置きにレム、ノンレム交互に変化する。一般的にレム睡眠のとき夢を見ると言われている。

レム睡眠は体は寝ているが脳が覚醒している状態。金縛りもこの時に起こると言われている…


電話で話す佳代


佳代『大丈夫よ。上手くいってるわ。彼女なら絶対ハマるはず。

だから約束は守ってちょうだい。解っているわよね?』

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執着 天野 みろく @miroku-amano2025

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