第25話 オチ

おそらく、ここに書かれたものは事実とはかけ離れている。

握りしめた思い出を、こねくり回して、書き写しているからだ。


そして、ここに書き写したことで、書きこぼした感情は、たぶん私の心からも取りこぼされてしまっていると思う。

吹き渡る風に乗せられて、もうどこかへ行ってしまった。


思えば、この話のオチを、探す夏休みだった。

あっという間に残り10日となり、宿題に追い込まれるようになったが、未だに見つかっていない。

私の日常は、起、承、転、に満ち満ちている。

感情を失ってもいいと思えるほどに、書かなければならないことで、満ち満ちている。

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風光る 家猫のノラ @ienekononora0116

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