第5話 熱視線

ニヤニヤしながら、三村先輩はひらひらと手を振って、自分の席へと戻っていった。

参考書やノートをカバンに入れ、何事もなかったかのように、図書室を出る。


その優雅な一挙手一投足に見惚れながら、私は固まったまま動けなかった。


なんで、私の名前を先輩が知ってるのよ…!!

しかも、いつから気付いてたの!?


ますます体温が上がっていくのを感じる。冷房の効いた部屋だというのに、暑くて暑くてたまらなかった。


自覚のない恋が、始まったような。



「あんな熱い視線で見つめられたら、勉強に集中なんて、できるか」

図書室を出て、そっと心の声を漏らした三村。


視線に気づいて、いつしか彼女が来るのをそわそわしながら待っていた、三村先輩目線のお話はまた、次回。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

温度増していく、この夏 松武直弥 @mattake55

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ