第5話 熱視線
ニヤニヤしながら、三村先輩はひらひらと手を振って、自分の席へと戻っていった。
参考書やノートをカバンに入れ、何事もなかったかのように、図書室を出る。
その優雅な一挙手一投足に見惚れながら、私は固まったまま動けなかった。
なんで、私の名前を先輩が知ってるのよ…!!
しかも、いつから気付いてたの!?
ますます体温が上がっていくのを感じる。冷房の効いた部屋だというのに、暑くて暑くてたまらなかった。
自覚のない恋が、始まったような。
◇
「あんな熱い視線で見つめられたら、勉強に集中なんて、できるか」
図書室を出て、そっと心の声を漏らした三村。
視線に気づいて、いつしか彼女が来るのをそわそわしながら待っていた、三村先輩目線のお話はまた、次回。
温度増していく、この夏 松武直弥 @mattake55
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