第三話
そうして、とりとめもなく続いた会話が一段落した頃、カーテンの隙間から差し込む光が朝を告げた。
マギー・メイがカーテンを開けて朝日を部屋に入れようとするのをソフィが制する。
「マギー・メイ。カーテンは開けなくていいわ」
カーテンに掛けていた手を止めたマギー・メイは彼女の方を振り向くと「何故だ?」と一言だけ尋ねた。
「暗い部屋の方が落ち着くのよ。カーテンを閉めていても、燭台に火を灯しておけば不自由はないわ」
「不健康にも程がある」
聞く耳持たぬ、というようにカーテンを開けると、部屋の中は一瞬で朝の爽やかな日差しに満たされ、ソフィは眩しさに目を細めた。そんな彼女を気にも留めず、マギー・メイは部屋の中に数多ある燭台の火を吹き消して回った。
「……勝手な人ね」
ソフィは唇を尖らせ、窓際に佇み気持ちよさそうに朝日を浴びるマギー・メイに文句を言った。
「いい朝だ。お前もこっちに来たらどうだ」
ソフィは億劫なのを隠そうともしない素振りで、うんざりしたように立ち上がった。興味がないと言外に伝えるためにか、殊更にゆっくりとマギー・メイの待つ窓際へと歩いた。
「素晴らしい眺めじゃないか」
「朝日なんて珍しいものじゃないわ」
つまらなそうな言葉に、マギー・メイは「そう言うな」と苦笑いを浮かべる。
「これほど高いところから日が昇るのを眺める機会はそうそうない」
「ここにいれば毎日見られるわ。嫌でもね」
「……朝は嫌いか?」
そう尋ねられたソフィは少し考える素振りを見せてから「ええ、そうね。どちらかと言えば」と呟き、憂鬱そうに表情を曇らせた。
「そうか。私は好きだ。朝日を拝むと、生きて今日を迎えられた事を実感するよ」
マギー・メイの言葉にソフィはちらりと彼女の横顔を見た。顔の火傷だけではなく、不自由な右足や服の袖から覗く手にも古傷が残っている事を見れば、生きて今日を迎えられた、という言葉の重みが伝わってくるように思える。
だからといって、ソフィが朝日を見て憂鬱な気持ちになることに変わりはなく「そういう人もいるのね」と小さな声で答えた。
「私はね。朝日を見ると、ああ、今日も眠れなかったわ、って。そう実感するの」
だから朝は嫌いよ、と目を伏せた彼女に「なるほどな」と優しげな口調で呟いて微笑みかけ「人それぞれだな」と頭をぽんと撫でてやった。
「だが、カーテンは開ける。日に当たらないのは体に良くないからな」
まるで母親が子供に言い聞かせるような口調で言ったマギー・メイの言葉に、ソフィは諦めたように小さな溜息を吐くと「どうぞ、お好きになさって」とティーテーブルへと戻っていった。
「……まだ眠くはないのかしら」
マギー・メイは遥か遠くの山の端を照らす朝日を見つめたままで「まだ一日目だ」と答えた。
確かにそうね、と返事をしたソフィはちらり、と時計に目をやった。時計の針は朝の五時を指しており、彼女は、ふうん、と鼻を鳴らした。
「さっきまで日を跨いでいないと思ったのに。気が付いたら、もう朝が来ていたの」
誰に聞かせるともないような、ぽそり、とした呟きにマギー・メイは目線だけを彼女の方に向けた。
「こんなに短い夜は久しぶりだわ」
時計の秒針の動きを目で追って「時計の針はいつもと同じように動いているのに」と言いながら、頭の中で針の動きに合わせて数を数える。ちく、たく、と音を鳴らす秒針の忙しない動きを眺める。一周巡る前に焦れてしまい、数えるのをやめた。
「不思議ね。こうしてただ時計を見つめていると、たったの一分が長いのに」
「過ごし方によって時間の感じ方など、どうとでも変わるさ」
マギー・メイはティーテーブルに戻ってきて、椅子に腰を下ろすと「少し腹が減ったな」と呟き、そう思わないか、と言いたげにソフィを見た。
ソフィは卓上のビスケットが盛られた皿を彼女に差し向けてやってから「もうじき使用人が来るわ。その時に朝食が運ばれてくるから。我慢した方がいいと思うけれど」と言った。
「それはよかった」
マギー・メイがそう言いながらビスケットに手を伸ばし、ひとつ口に運ぶと、ソフィは目を丸くして「私の話を聞いていなかったの?」と呆れたように声をあげた。
「少しくらい。腹が減って目の前に食べ物があれば食べるだろう。朝食もそれはそれで食べる」
「そんな調子で食べていたら、きっと太ってしまうわ」
「お前は少し太った方がよさそうだ」
悪びれもせずにそう返したマギー・メイは「骨と皮しかないみたいだ」と、ソフィの少女らしからぬ筋張った手を握った。
「太らない体質なの」
「そんなわけがあるか。食べていないだけだ。食べれば太る」
マギー・メイは握っていた手を離すと「そもそもお前の生活習慣は目に余る」と呟いた。責めるような物言いではなく、優しく諭してやるような声色だったが、ソフィは機嫌を損ねたようで、拗ねたようにそっぽを向いた。
「朝日を浴びて、腹いっぱい食べて、少し体を動かして、夜は灯りを消してベッドに入れ。眠れないのが嫌なら、少しは眠る努力をしたらどうだ」
「お小言は嫌いよ」
もうたくさん、とばかりに立ち上がったソフィは「そんな簡単な事で眠れないから困っているの」としゃがれた声に咳払いを混ぜながら言い返すと「何もわかっていないくせに」と吐き捨てて背を向けた。
「どこに行くんだ」
「シャワーの時間なの」
振り向いてマギー・メイを一瞥してから、ふん、と機嫌の悪さを知らしめるように鼻を鳴らして浴室に入っていってしまった。
一人残されたマギー・メイは、やれやれ、とばかりに溜息を漏らした。手持ち無沙汰な時間を持て余すように、退屈しのぎに壁一面の本棚にぎっしりと詰め込まれた本の背表紙を眺めた。童話の類が多いようだったが、一冊の本、ロンズデール家、と題された本の背表紙がマギー・メイの目に留まった。
それはロンズデール家の歴史や一族の者の功績を記録した歴史書のようだった。海を隔てた遥か遠い国の貴族を祖に持つロンズデール家が、彼の地で栄華を極め、やがてかつて新大陸と呼ばれたこの国に移住し、更なる繁栄を求めた歴史が記されていた。
また、一族の繁栄の礎を築いた時代の家系図も記されており、そこに登場する人物の名には彼女も知るような歴史に名を刻む大人物の名も多かった。
しかし、それよりもその家系図の、とある歪な点に彼女は目を引かれた。家系図を見る限り、早逝する者があまりに多すぎるように思えたのだ。
代々の当主の子供に一人ずつ。
必ず、幼くして没年を迎えている者がある事に気付いた。多くは年端もいかぬ頃に命を落とし、十歳を迎えている者など、片手で足りるほどにしか数えられなかった。
マギー・メイはしばらくその家系図を眺めていたが、やがて興味を失って、ぱたん、と音を立てて本を閉じた。もう長らく開かれていなかったのだろう。閉じた勢いで埃が舞った。もう一度、表紙を眺めてから、つまらなそうに本棚に戻した。
ぼんやりと全体を眺めるように本棚を見ていると、一冊だけ、明らかに他の本よりも擦り切れているものが目に入った。何度も、何度も繰り返し読まれたであろうその本を手に取った彼女は、ティーテーブルに戻り、腰を落ち着けて頁を開いた。
「……眠り姫、か」
それは何の変哲もない童話だった。
彼女自身も幼い頃に読み聞かされた事がある。
一度読めば忘れようがないほどに単純な内容であり、年を重ねた今になって目を通せば、新鮮味の欠片もない、ごくごくありふれた御伽噺だ。
それでも、そんな童話を擦り切れるまで読み続けた者の心中は如何ばかりかと思えば、深く溜息を漏らさずにはいられなかった。
「……憧れるような眠り方でもあるまいが」
一人、そう呟いたマギー・メイが童話を読み終えた頃、シャワーを終えて戻ってきたソフィが、濡れた髪をタオルで拭きながら、本の表紙に視線を落とす彼女をちらりと見た。
視線に気付いたマギー・メイが顔を上げて目を合わせると、ソフィは、つん、と不機嫌そうに視線を逸らした。ソフィはそれきり目を合わせようとせずにベッドの上に腰掛けた。
「悪かったな。少し無神経が過ぎた」
マギー・メイは閉じた本を再び開き、ぱらぱらと頁を捲りながら、低い声で呟く。
ソフィはほんの少し逡巡したように間を置いてから「別に。気にしてないわ」と返す。
まるでお互いに独り言を言い合っているような言葉を交わした後、暫く沈黙が続いた。
やがて、部屋の外でがたん、と大きな音が響き、続いて聞こえてきた重く低い機械音が昇降機の作動を告げた。
マギー・メイが「来客のようだ」と呟くと、ソフィは「言ったでしょう。朝食の時間だって」と、返した。
その口調と、むっつりとした表情からは先程の、気にしてない、という言葉は心からの物ではない事がありありと伝わってくる。マギー・メイは、難しい奴だ、と言いたげに軽く肩を竦めた。
古びた木製の扉が乾いた音を立てて開くと、使用人であろう女性が朝食を載せたアンティーク調のワゴンを押しながら姿を見せた。
黒ずくめの服に身を包み、これもまた黒いレースのフェイスベールで顔をすっかり覆い隠した使用人の姿を見たマギー・メイは訝しむように眉を顰めた。
「……葬式でもあるのか?」
まるで喪服のような出で立ちに、冗談だろう、と言いたげに同意を求めた。
そんなマギー・メイに取り合いもせず、使用人の女性は物も言わずに歩を進める。椅子に腰掛けたソフィの背後に立った彼女は、櫛を手に取ると、優しく、慈しむような手つきで髪の毛を梳かし始めた。
「何故、顔を隠している?」
無遠慮にそう尋ねたマギー・メイに、やはり使用人は何も言葉を返さない。フェイスベールの奥の顔を覗き込もうとするかのように、じろじろと使用人を眺める。
見かねたソフィが「貴女だって顔を隠しているじゃない」と呆れたような溜息混じりの言葉で窘める。マギー・メイは「まあ、そうだが」としながらも、納得がいかないようで「喋りもしないのか?」と今度はソフィに向かって尋ねた。
「そうよ。そういう人なんでしょう」
納得はいかないながらも、なるほどな、と一言だけ呟き、それ以上の追求を止めた。
使用人はソフィの髪を梳かし終えると、朝食をティーテーブルの上に並べた。
「二人分の朝食を並べるには少し小さいな」
二人分のサンドイッチとサラダ、それにティーカップを並べただけで一杯になってしまったティーテーブルを見て、ソフィも「元々が食事をするためのテーブルじゃないもの」と答えた。
「お客様と食事を摂る事がなかったから。大きいテーブルを持って来させた方がいいかしら」
「私は構わんよ。近い方が話しやすい」
マギー・メイの言葉に「貴女が構わないのなら」と短く答えたソフィが手をひらひらと振って使用人に下がるように命じる。
使用人は小さく頭を下げ、その場を離れようとした。
「使用人にしては綺麗な手だ」
彼女を呼び止めるように、マギー・メイが声を掛けた。
「私は手が荒れやすくてな。いつもがさがさしていて困っているんだ。何か特別な手入れをしているなら教えてほしい。まるでお前の手は……」
貴族みたいに綺麗だから、というマギー・メイの言葉を背中で受けた彼女は、ほんの一瞬ばかり動きを止めただけで、案の定と言うべきか、一切の返事をする事なく部屋の外に出ていってしまった。
「取り付く島もない」
そう言って苦笑いを浮かべた彼女に、ソフィは「貴女がしつこいからよ」と答えた。
「手が荒れているのなら、私のハンドクリームを使うといいわ」
ソフィはサラダを綺麗に食べ終え、サンドイッチを二、三口齧っただけで口元をナプキンで拭うと、ご馳走様、と食後のお茶を口にした。
マギー・メイはそんな彼女を何か言いたげな目で見つめ、その視線に気付いたソフィは「もっと食べろ、と言いたいのでしょう?」と言った。
マギー・メイは考えを見透かされた事に苦笑しながらも、いいや、と返した後で「食べないのならもらっていいか、と聞きたかったんだが」と尋ねた。
ソフィは「負けず嫌いか、意地っ張りね」とくすくす笑いながら、サンドイッチの乗った皿を差し向けた。
サンドイッチを頬張るマギー・メイを見て「美味しそうに食べるのね」と嬉しそうに微笑む。
「実際に美味い」
あっという間にサンドイッチを平らげたマギー・メイは指に付いたドレッシングを舐め取り、ナプキンで拭った。
「ロンズデール家の朝食よ。美味しくないはずがないわ」
ソフィはそう言って、自慢げな表情を見せた。
テーブルの上の皿がすっかり空になると、ソフィはワゴンの上に置かれていた真鍮製のベルを鳴らし、使用人を呼び付けた。再び部屋に戻ってきた黒ずくめの使用人は食器をサイドワゴンに載せ、一礼をしてすぐに退出した。昇降機が降りていく音が響く頃、ソフィはひとつ、小さな溜息を吐いた。
「私もね。これでお腹いっぱい食べているの」
元々食が細いみたいね、とお腹をさすりながらそう言うと「これでも眠るためにいろんな事を試したつもりよ」と小さく呟いた。
「貴女が言うような規則正しい生活をしていた事もあるわ。お茶を飲むのを控えていた事もあるの。不眠に効くというお薬も飲んだ事があるし、寝付きをよくするお香を一日中焚いてた事もあるわ。なんだか変な祈祷師みたいな人が来た事もあったわね」
祈祷師は可笑しくて眠るどころじゃなかったけれど、と可愛らしい思い出し笑いを浮かべたソフィを見て、マギー・メイも思わず小さく笑った。
改めて「さっきは悪かった」と謝ったマギー・メイに首を横に振ったソフィは、気にしないで、という代わりに小さく手を挙げた。
「最近、ちょっと諦めていたのも事実だもの」
ほんの少し切なさを滲ませた微笑みを浮かべたソフィは、でもね、と呟いて部屋の真ん中に鎮座する天蓋付きの、それこそ童話のお姫様が眠りにつきそうなほどに瀟洒なベッドに目をやった。
「今でもあのベッドで横になる度に思うのよ。この柔らかいベッドに包まれて眠る事が出来たら。どんなに幸せでしょうって」
そうだろうな、と微笑んでやったマギー・メイを見て、きっとそうよ、と答えたソフィは、テーブルの傍らに置かれた眠り姫の童話を指で差した。
「眠り姫のお話、読んだのね」
マギー・メイは一瞬どう答えたものか躊躇うと、ややあってから童話を手に取り、とんとん、と音を鳴らして表紙を軽く叩いた。
「久しぶりに御伽噺を読んだが。いいものだな」
ぱらぱらと頁を捲りながら「随分と読み込んでいるようだ」と本に目を落としたままで呟いた彼女に、ソフィは「おかしいでしょう?」と自嘲気味に笑った。
「呪いで永遠の眠りにつくお姫様が羨ましいなんて」
「夢物語に憧れるのはおかしな話ではないだろう」
ソフィは「夢物語、ね」と呟き、何か考え込むように物憂げな表情を浮かべると「そうね。その通りだわ」と無理をしたように笑ってみせた。
「私が眠りにつく日が来るなんて、きっと夢物語だわ」
ソフィはそんな表情に気付かれないよう、立ち上がってマギー・メイの手から本を取り上げると、足早に本棚に向かっていった。ことん、と音を立てて童話が本棚に収まると、マギー・メイに背を向けたままで「眠り姫って、なんてずるいのかしら」と呟いた。
「眠っているだけじゃない。ただ眠っているだけで、呪いの茨を切り裂いて、王子様が迎えに来てくれるのよ」
そう言って、マギー・メイに向き直ったソフィは「ずるいと思うでしょう」と同意を求めながらも、彼女が何か言葉を返す前に話を続けた。気持ちを落ち着けるためか、細い足で、か弱い足音を残しながら、部屋の中を歩いて回った。
「このお話を書いた人って何もわかってない。眠り続けるよりも、眠れない方がずっと辛いのに。眠り姫は百年経っても十五歳の美しい姿のまま眠り続けるけれど。眠れない私はもう十五歳になるというのに、子供みたいな見た目のままなんだもの」
朝の光射す窓際で足を止めたソフィはちらりと塔の下に目をやると、細い腕を伸ばして窓を開け放った。
「もし、王子様が来ても。きっと私の事は相手にしないわ」
高い塔の上は風が強く吹いていて、レースのカーテンが彼女のふわふわの長い金色の髪を風に乗せるように巻き込んでたなびく。風に暴れる髪をかき上げると、朝日の眩しさに目を細め、手で庇を作った。
「それでも、夢を見たっていいでしょう? 眠りの中で夢を見られないのなら。起きてる時の夢くらい、好きに見させてほしいわ」
長い間、他人に打ち明ける事がなかったであろう想いを吐き出して、少し気分が晴れたように「いいでしょう、それくらい」と普段通りの少しお高く止まったような澄まし顔を作ってみせた。
もちろんだとも、と返したマギー・メイはゆっくりと立ち上がり、ソフィのいる窓際まで歩み寄る。そうして隣に立った彼女に、ソフィは「この時間には、私、いつも外を覗くのよ」と微笑みかけた。
「見てちょうだい、マギー・メイ。ロンズデール家の眠り姫よ」
ソフィの言葉にマギー・メイは窓枠に腕を掛け、塔の遥か下に広がる庭園へと目線を落とす。母親らしき女性と手を繋いだ、幼い少女が庭園に姿を見せる。眠り姫、という言葉で飾るには元気すぎるほど、楽しげに庭園を歩く少女だった。
マギー・メイが、どういう事か、と目線をソフィに向けたが、彼女はどこ吹く風で少女を見守っていた。
愛おしいものを眺めるように温かな眼差しの奥。
寂しさか、切なさか、判断のつかぬ複雑な光が宿っているように感じられた。
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