優勝祝い
玄関が開き、部屋にドタドタと走ってくる音が聞こえる。
「雪ーーーーーーーー!優勝できたよぉぉ!」
部屋に入ってきた途端抱きついてくる陽菜。
抱き返してあげると頬擦りしてくる。相当頑張ったのだろうと思い労いの言葉をかける。
「優勝おめでとうございます。私のために頑張ってくれたんですか?」
「もちろんそれもあるけど……私のためでもあるし、とにかく頑張ったよ!」
まあ何はともあれ陽菜のおかげでコラボ相手が実質一人減った。きっといつかは何人もとコラボすることになるだろうけど、既に何人もコラボの予定が決まっていると気が滅入ってしまう。
ただでさえたった2人とのコラボなのにやりたくなくて駄々を捏ねたくなっている。
「あぁ〜もう私ここに住もうかな……」
「まあ別に良いですよ?部屋も余ってますし」
普通に大歓迎である。Vが異性と同棲なんかがバレれば炎上モノだが、同性……それも百合カプとして認知……或いはそう扱われているペアが同棲していてもむしろ喜ばれるだろう。
そういう意味でも心配事は無いのだ。
「普通に嬉しいですよ?その……好き、ですし。一緒に住めば、色々と都合がいいでしょうし」
「マジで?じゃあ本気で引っ越そうかなぁ。一緒に住めば何時でもオフコラボになるし、セックスもし放題だもんね?」
「あんまり、そういうこと言わないで下さいよ、恥ずかしいです」
そういうことは思っても言うべきでは無いでしょう。これだから変態は……
「だってさ〜!雪めっちゃ可愛いんだもん。どんな格好してても可愛いし、全ての仕草が愛らしいし…そんな人が目の前にいたらさ?ムラムラして色んな妄想しちゃうのはしょうがないって言うかさ。今も色々考えちゃってるし……」
「色んなって?」
おそるおそるその内容を聞き出す。何を考えているのか少し興味はある。……SMとかは嫌だなぁ
「えっとね、今はコスプレかな。猫耳つけて欲しい」
と、そんなことを真顔で……真に迫った顔で言ってのけた。
「あ、耳の色は絶対白ね。異論は認めない」
さらに追加注文もしてきた。
髪の色に合わせてきたのかな……どっちにしろ恥ずかしいことに変わりは無い。
「語尾はニャンで統一。簡素でもいいからメイド服着て欲しいかな」
うん。やっぱり変態だわ。猫耳メイドをご所望らしいけど冗談で言っているみたいな雰囲気ではなくてガチの顔だから困る。
「ちなみに、私にコスプレをさせて、どうするんですか?」
「当然まずは写真撮影だよね。色んなポージングしてもらって写真を撮る。100枚は欲しいね。で、その後イチャイチャしてその流れでやる事ヤッて〜って感じかな」
「……やっぱり陽菜って変態ですね」
変態の一言に尽きる。そういうのを3次元に求めてくるとは思っていなかった。あんまりやりたくは無いなぁ
ここは、ちょっと賭けをするか。
私はそっと抱きついて上目遣いで陽菜を見つめる。そのまま一言。
「恥ずかしいから……やりたくないです」
と、目をうるうるさせながら陽菜の罪悪感を刺激する。これは完璧でしょ。
「その表情良いね!マジで可愛い。猫耳メイドの時もその表情お願いね。あ、あとお金は出すから絶対やってね」
最後だけ真顔で言われた。
人間不信のVTuber 暴走天使アリス @mahosama
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