シャフマ王宮内 地下2階 倉庫
(荒れた倉庫に本が落ちている)
①シャフマ教
(乱雑に字が塗りつぶされている箇所が多い)(所々ページが欠けている)
1 シャフマ神とは
シャフマ神は……神の次に生まれた神である。シャフマ地帯で生まれ、……をされた。王子自身はた…の……であり、王子の体に……が宿るのだ。……はこれを分かっていない。我らは……を……させ、……に……救う。
2 シャフマ神と砂時計の関係
(このページは焼かれて読めない)
3 シャフマ神と魔女について
(このページも焼かれて読めない)
4 シャフマ神の……族
シャフマの民は……であり、……人間と……魔…で……(ここから塗りつぶされている)
5 魔法と神
我々シャフマの民が魔法を扱えるのは、シャフマ神の血が濃いためである。また、……族は……戦争後に……逃げ込み……フートテチ……(ページが破られている)
(以降は読めそうにない)
②ヴァンスからステファーヌへの書簡
地上の書庫で見た書簡の抜かれていた箇所のもののようだ。
6
ステファーヌ・レイ・ストワード殿
アレストが2歳になった。シャフマは変わらず平和だ。俺の従者であるリヒターが子育てにすっかり慣れたので俺は国の外に出ることが多くなった。お前に会える機会が増え、嬉しい。アレストは良い王子だ。めったに泣かない。おかげで砂時計が割れる心配があまりない。だがまだ夜一人で寝ることは出来ないので、俺やリヒター、ベノワットにしがみついて寝ている。かわいいものだ。昼はキャロルの手作りの料理をたくさん食べ、健康に過ごしている。ところで最近少し気がかりなことがある。俺の執事が結婚を控えているのだが、相手とうまくいっていないらしい。今度女の扱い方を教えてやるとしよう。上手く行って欲しい。お前も願っていてくれ。
ヴァンス・エル・レアンドロ
7
ステファーヌ・レイ・ストワード殿
前に書簡に書いた執事の縁談の話が無しになったらしい。残念だが、気難しいヤツだし相手との相性が悪いのだろう。仕方が無い。しかしまだ14歳なのだから、焦ることは無いと思うのだが……俺はたまたまキャロルと若い時期に出会えたというだけだからなと話してはみたが、気持ちが伝わったかは分からない。お互い焦ってしまうのだろう。王族や貴族である以上、血の継承は急務になってしまうからな。アレストにはあんな思いをさせたくないと思ってはいるが、もしアレストが成人を迎えてしばらく経っても結婚しなかったら……と考えるとゾッとする。俺が考えても仕方の無いことだが。あぁ、そうだ。その執事だが、紙の管理をしているのだった。あまり長く書くとまた怒られてしまうからな。ここら辺で切り上げるとしよう。アレストの話はまたする。
ヴァンス・エル・レアンドロ
8
ステファーヌ・レイ・ストワード殿
キャロルがころされた。黒魔法を使った毒だ。俺は黒魔法が使えるから分かる。キャロルは苦しんだだろうか。……分からない。そして何故かアレストに疑いの目が向けられている。まだ3歳の子どもだぞ!そんなことが出来るわけがないだろう!!だが、シャフマの王子が絶大な魔力を持っていることを俺は身をもって知っている。それでも俺は……俺だけは、アレストの味方でいたいのだ。たとえ妻をころしたのが息子だとしても。そんなわけはないのだが。分かっている。なあ、ステファーヌ。お前は、大切な家族がころされても国王の顔が出来るか?聡明なお前は何て答えるのだろうか。それが俺の答えな気がしてならない。
ヴァンス・エル・レアンドロ
9
ステファーヌ・レイ・ストワード殿
キャロルがころされたことで、俺はアレストを疑ってしまうようになった。先日の書簡を読み、お前の言う通りだと思ったよ。王子が怪しいと思わせ、俺の動揺を誘うのが犯人の思惑だとな。さすが聡明なお前の考えだ。3歳のアレストは毎日妻の墓に花を添えて「母上、大丈夫。俺は泣かない」と言っている。こんなに健気で、こんなに幼い息子がまさか。だが、お前の言う通り疑いは時間でしか解決しない場合もあるのだ。父親の動揺した姿を見るなど王子であるアレストにとって悪影響だろう。俺は外交に今まで以上に力を入れることにする。幸い、ベノワットやメルヴィルと仲良くやれているらしい。王宮には信頼出来るリヒターもいる。アレストが砂時計を壊さないようにするためにも、俺は息子から距離を取ろうと思う。我が息子がいつか、砂時計の継承をし、母の事件のことを知っても国が滅びなくなったらそのときは、俺から直接伝えようと思う。きっとそのときには、俺はアレストのことを心から信じることが出来るだろう。
ヴァンス・エル・レアンドロ
(書簡とは別に、何枚かの紙の写しを見つけた)(日付的にヴァンスが15歳のときのものだろう)
宛名はステファーヌのようだ。ヴァンスの字で文が書いてある。
読みますか?
>読む
読まない
ステファーヌ殿
先日シャフマで会ったときに伝え忘れていたことがある。例のランプだが、俺には覚えが無い。
たしかにシャフマ王宮の倉庫に眠っていたものではあるが、歴史的な価値があるという記録はシャフマにはない。
見つめていると不思議な気分になるが、魔力が発せられている様子もないのだ。なんとも不思議なものであるが、今、魔女がそちらで暮らしているのだろう。彼女に管理をさせたらどうだろうか。
シャフマのナントカという村の魔女とは別の派生をした魔女がストワードにいるのならば、そちらに任せたい。俺は辺境の村とはあまり関わりがないからな。出たい気持ちはあるのだ。シャフマの王子は王宮の外に出られないのがもどかしい……と、これはこの前会ったときに話したな。
とにかくそれは俺たちの友好の証だ。それを見たとき、無性にお前に渡したくなった。遠慮せず受け取ってくれ。もしかして、シャフマとストワードの王子の間で何度も行き来したランプなのかもしれない。それほどまでに魅力的な……そしてお前たちにとっては禁忌の……魔法のランプということだ。
ヴァンス・エル・レアンドロ
砂時計の王子 書物集 まこちー @makoz0210
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